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世界初にして唯一の機械式高度計付き自動巻き時計がアップグレードした。

このユニークピースに革新的な進化をもたらしたのは、最新鋭の3Dプリント技術とブランドに貫かれる確固とした時計づくりの理念だ。

最新カーボンファイバーケースにみる実用時計メーカーとしての矜持.

デジタル技術の発達によってウェアラブルツールの機能は格段に進化を遂げた。ネットを介したさまざまな情報の収集や、GPSによる位置の把握から移動速度の計測、さらに心臓の鼓動や血圧を検知し、体内の奥深くまで探査の網を張り巡らせる。これに対し、アナログの機械式時計も負けてはいない。大いなる創造力と伝統技術の革新によって、その限界をさらに超えていく。今年発表されたオリスのプロパイロット アルティメーターはまさにその証左だろう。

オリスは2014年に自動巻き腕時計で初めて機械式高度計を搭載した。正確な時間と高度をダイヤルに表示する機能は、パイロットやアルピニストに高く支持され、その独創的な機構と高い技術力は多くの時計愛好家も一目を置く。

新作は3年の開発期間をかけて、このユニークな魅力にさらなる磨きをかけた。シンボルである高度計のスペックを従来の高度4500m(1万5000フィート)から6000m(1万9700フィート)へと向上させ、ケース素材も新開発の軽量カーボンファイバーを採用した。さらにムーブメントも薄型のCal.793に一新し、56時間のパワーリザーブを実現するとともに、ケース厚も前作より1mm薄い約16.7mmに抑えている。

ブラックの文字盤に時分針を幾重にも取り巻く数字と目盛りは、まさにコックピットの計器を思わせ、たとえ航空機を操縦したことがなくても魅せられるだろう。だが操作はいたって簡単だ。

まずは4時位置のリューズを引き出し、赤いリングの表示の高度計を起動する。さらに1段引き出し、リューズ操作で6時の赤い三角形が管制塔などの指示する基準気圧を指すように合わせると、黄色い2本線のポインターが現在地の高度、赤色のポインターが絶対気圧を指す。リューズを1段戻せば、黄色のポインターが自動で現在の高度を示す。

設定はこれだけ。フライトの準備は完了し、いつでもあなたは操縦桿を握って大空へと羽ばたけるというわけだ。

オリス プロパイロット アルティメーター 88万円(税込)。時計の詳細はこちら。

6000mまで表示できるように高度計のスペックが進化した新型のプロパイロット アルティメーター。なお、写真のメートル表示タイプのほか、フィート表示タイプも用意されている。Photo Courtesy ORIS

ダイヤル側の表示はメートルかフィートのどちらか一方になるが、チタン製のスクリューバックケースにメートル/フィート表示換算スケールを施すことでどちらの表示にも対応する。Photo Courtesy ORIS

2時位置のリューズは時刻とカレンダー表示を操作するためのもので、高度計に関するものはすべて4時位置のリューズに集約。独創性だけでなく、ユーザビリティも追求されている。Photo Courtesy ORIS

文字盤の外周に記した高度表示は、白い数字が0〜3900mでひと回りしたあと、2段目の黄色い数字の4000〜6000mに続く。航行時はFL(フライトレベル)が記された赤い三角を6時位置の三角に合わせる。チタンのケースバックはねじ込み式で、メートルとフィートの換算尺が刻まれている。チタンはこのほかベゼルとふたつのリューズにも使われ、いずれもグレーPVDを施し、軽量性と高強度に寄与する。

実用的な自動巻きに機械式高度計を搭載する時計は唯一で、これは高度計をムーブメントに積層する際に巻き上げローターが干渉してしまうためだ。この回避のため、プレートを設け、両者を分離している。

機械式高度計の原理はけっして複雑ではない。メタル製のダイヤフラムが周囲の圧力に応じて変位し、その動きを針に伝える。だが時計の場合、問題になるのが気圧を感知する開口部から湿気が入り、防水性が損なわれることだ。これに対し、オリスは空気を通しても湿気は遮断する独自のPTFE防湿壁を開発し、特許を取得している。

新作ではこうした独自の機構を包み込むケースに、新たなカーボンファイバーコンポジット素材を採用した。これは、ETHチューリッヒ大学(スイス連邦工科大学)から独立した9T研究所とのパートナーシップから生まれたものだ。9T研究所は前例のないカーボンファイバー加工法を開発するため2018年に設立されて以降、宇宙開発や航空機器をはじめ多くの加工品を生み出してきた。オリスはその設立当初から時計のケース開発について協業を打診していたのだ。

こうして選ばれたのは、カーボンファイバーと高分子ポリマーPEKKの複合素材だ。PEKKは化学的にも強く、耐熱性に優れ、両者を合わせることで軽量性と強度を併せ持つ。これまでも複合素材として時計の外装に用いられていた素材だが、プロパイロット アルティメーターが画期的なのはこれをワンピース構造のケースで実現したことだ。ラグを一体成形したケースに、ムーブメントを直接収め、風防とチタンの裏蓋をはめ込む。さらにリューズをセットするという複雑かつ高い精度が求められる造形に加え、気密性も確保しなければならない。これを既存のカーボン成形技術で作るのは難しく、9T研究所は“積層造形と成型”を基にした独自の製造法を生み出した。着目したのは3Dプリント技術だ。

3Dプリントの技術革新は目覚ましく、今や最先端分野はもちろん、建築や医療、食品など非製造業まで広がり、新たな産業革命と呼ばれるほどだ。今回の9T研究所独自のソフトウェアによる3Dプリント技術も複合素材を安定した密度や形状で融合・最適化し、一定の品質で最終製品の量産を可能にした飛躍的な発明である。

3Dプリント技術は時計製造の現場でも今や欠かせない。だが開発時のプロトタイプとは異なり、量産に成功したカーボンファイバーケースは前作より70gも軽い約98gを実現している。なお、カーボンファイバーと高分子ポリマーPEKKの融合プロセスについては技術的なノウハウにかかわるため、明確な回答は得られなかった。

ハイテクな素材や製造プロセスから生まれたにもかかわらず、その表面には木の年輪を思わせるようなパターンが浮かび上がる。積層した素材が生み出す固有の美しさは、3Dプリントによる予期せぬデザインであり、プロパイロット アルティメーターを腕にハイキングや登山を楽しむナチュラリストにも好感を与えるに違いない。そしてサステナビリティにおける3Dプリント技術の可能性も示唆するものとなった。

加工を完璧にコントロールすることで素材のロスをなくし、従来の工法より効率を格段に向上させる。それは“未来のための気候中立型移動”を志向し、新しいデザインと製造工程を提供する9T研究所の活動に沿う。それと同時に海洋環境保全をはじめサステナブルに取り組み、社会貢献をミッションにするオリスの企業理念にも通じ、両者のまなざしは共通の未来に向いている。

来年オリスは創業120周年を迎える。だが歴史を振り返れば、その歩みはけっして平坦ではなかった。1934年に制定されたスイス時計法では、同国内での競争を防ぐために新技術の導入が制限され、オリスは安価な時計製造を強いられた。これに対し、10年にわたる法廷闘争の末、1966年にはついにスイス時計法を覆したのだ。さらに1970年代にグループ傘下になるものの、1982年に当時の経営陣が自社株を買い取り、クォーツウォッチを廃止し、機械式時計のみの製造を選択した。これによってオリスは独立系ブランドとして再起したのである。

そこには“Go your own way(自分の流儀を貫く)”という反骨精神とともに、“Real watches for real people(真に生きる人のための本物の時計)”を作るという揺らがぬ理念が根底に貫かれている。それは武骨さに本当の価値や人間の自由な精神性を宿すプロパイロット アルティメーターも例外ではない。だからこそ、この時計は極めてオリスらしいといえるのだ。

新しいブリュー メトリック オートマティックが登場。

500本限定でリリースされる“ブリュー メトリック”は、無駄を省いて洗練された印象に仕上げた、時刻表示のみの時計だ。
ブリューウォッチはリミテッドバージョンであるメトリック クロノグラフのデザインを新たに発表したばかりだが、こちらは機械式自動巻きムーブメントを搭載した時刻表示のみの時計で、525ドル(日本円で約7万7000円)というお値打ち価格の商品として登場した。
ブリュー メトリック オートマティック
メカクォーツムーブメントを排除し、セイコー製NH35Aを採用することで、時刻表示のみかつ、36mm径(全長41.5mm)、厚さ10.75mmの堅牢なステンレス製ウォッチが手に入る。コーヒー豆に似たブリューのロゴは12時位置にセットされ、ポリッシュ仕上げのSS製インデックスの外側にあるオレンジのアクセントは、同じくオレンジに塗られたロリポップの針とマッチ。またそれらの締めくくりとして、70年代にインスパイアされたヴィンテージウォッチを現代風にアレンジしたような、クリーミーな夜光をアクセントとして配している。
この時計は現在ブランドのウェブサイトで販売されており、500本限定で提供される。
我々の考え
正直に言おう。今年も半ばに差し掛かり、私は少しリリース疲れを感じ始めている。1年をとおして何度も時計をリリースしているブランドはたくさんあるが、多くの場合はダイヤルが変わるだけで、それ以外が出ることはあまりない。クラシック音楽が好きな人には、これが1900年代初頭のように感じられるといえば理解いただけるだろうか。すべてが“テーマによる変奏曲”なのだ。とはいえ新しいメトリック オートマティックは、ブリューのようなブランドが余計なことをせずに改良を重ねることのできるデザイナーを指揮官に据えることで、いかに恩恵を受けるかを示している。
ブリュー メトリック オートマティック
新しい時計は、私が先月直接対決させた2本のメトリック クロノグラフからインスピレーションを得ていることは間違いないが、無理をせずによくデザインされた、完璧な中間点に達していると思う。私はロリポップ針(どの時計から着想を得たのかは定かではないが、個人的には昔のニバダ グレンヒェン CASDを思い出す)が大好きで、ダイヤルにはあのメトリック クロノグラフで気に入っていたポルシェデザインの雰囲気が今でも残っている。クロノグラフは大好きだが、実際にはほとんど機能自体使っていないので、この機能を省いた機械式のオプションのほうが理にかなっている。
プレスリリースには“ディスプレイケースバック”と記載されているが、写真を見た感じだとそこまでは言えない。とはいえ腕時計を初めて扱う人の多くは、機械部品の動きを垣間見ることができる“ハートビート”ダイヤルやスケルトナイズされた腕時計に魅了されることを知っている(ムーブメントの仕上げや品質に関係なく)。私は10年以上前にスケルトンのフォッシルを購入したが、歯車が動くのを見ると、世界で最も高価な時計を持っているように感じたものだ。バランスホイールが動いているのを見ることができるということは、一般的に525ドル(日本円で約7万7000円)の価格帯に引き寄せられる新規ユーザーの目を引くものであり、特にほかのパッケージが非常にしっかりしていれば、少なくとも熟練のマニアにとってマイナスにはならないだろう。
ブリュー メトリック オートマティックのデザイン
基本情報
ブランド: ブリュー(Brew)
モデル名: メトリック オートマティック(Metric Automatic Steel)
直径: 36mm×41.5mm
厚さ: 10.75mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: バー(ファセット加工)
夜光: あり、針とインデックスの端
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: サテン仕上げとポリッシュ仕上げのSS製、クイックリリーススプリングバー付き
ブリュー メトリック オートマティックのリストショット
ムーブメント情報
キャリバー: NH35A(セイコー製)
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 27.4mm
厚み: 5.32mm
パワーリザーブ: 約40~時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24
クロノメーター: なし
価格 & 発売時期
価格: 525ドル(日本円で約7万7000円)
発売時期: すぐに、8月21日から発送
限定: あり、500本限定

この時計は、英国元首相の時計遍歴に新たな1ページを刻むものだ。

ウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)は時計を愛する人物だった。カブ(Turnip)という愛称で親しまれたお気に入りのブレゲの懐中時計をはじめとし、私たちはチャーチルの愛用品の数々を目にしてきたので、そのことをよく知っている。またチャーチルとロレックスの創業者ハンス・ウィルスドルフ(Hans Wilsdorf)とのあいだで交わされた、手首のサイズやエングレービングについて記された書簡も見たことがある。のちにウィンストン・チャーチルは、ロレックスによる10万本目のクロノメーターとして、彼の家紋が入ったゴールドのデイトジャストをウィルスドルフ本人から贈られている。

ウィンストン・チャーチル卿は1946年夏、ヴォー州からこの金のレマニアを贈られた。

今週、彼のコレクションにあった時計がまたひとつ判明した。18Kイエローゴールドのレマニア クロノグラフで、これもまたヴォー州から贈られたものである。しかも、この時計はデイトジャストよりも以前のモデルなのだ。この時計はある個人が入手したもので、4月25日にロンドンで開催されるサザビーズの時計オークション、そのロット160として登場する。なお、この時計が特別な理由はいくつかある。

裏蓋の刻印は、これがウィンストン・チャーチルに贈られたものであることを示している。

まず時計全体がゴールドだ。ケースから針、インデックス、そして文字盤にいたるまで、すべてに金メッキが施されている。ほとんどのレマニア クロノグラフが(ほかのメーカーにも供給しているエボーシュムーブメントを搭載しない場合)ステンレススティール製であったのに対して、これは極めてイエロー(ゴールド)が際立つレマニアとなっている。この時計はその点において、まったくの正反対だ。また、プッシャーのひとつが取り替えられていて、しかもその出来があまりいいものでないため、残念ながらこの時計の視覚的なバランスが少し崩れてしまっていることに注意して欲しい。写真でわかるだろうか?

第2に、定評あるクロノグラフムーブメントを搭載している。Cal.CH27-C12は1940年代初頭にオメガと共同開発した手巻きクロノグラフで、オメガはこれをCal.321と呼んでいる。Cal.CH27-C12と聞いてもピンとこない人も多いかもしれない。だがCal.321なら多分聞き覚えがあるはずだ。このムーブメントは数々の時計に使われ、そのなかでも特に月へ旅立ったスピードマスターに搭載されたことで知られている。

この時計はさまざまな意味でユニークだ。18Kイエローゴールドにサーモンの文字盤というのは、当時のレマニアにはあまり見られなかった。

そして最後に、この時計はレマニアの本社兼ファクトリーがあったヴォー州から直々に贈呈されたものである(このファクトリーは1990年代にブレゲに吸収され、今日に至るまで、スウォッチ グループはこの建物を自社の時計製造に使用している)。チャーチルがこの時計を受け取ったのは妻クレメンタインとスイスで休暇を過ごしていたときで、チューリッヒ大学での演説でヨーロッパ統一についてのヴィジョンを語る直前のことだった。

時計の直径は36mmだ。

この時系列を鑑みてか、サザビーズはこの時計がチャーチルが描いた“ヨーロッパの平和と統一”の象徴であると主張している。しかし、この主張については慎重に考える必要がある。というのも、チャーチルがヴォー州を訪れた際に演説を書いたという証拠も、スイスでの体験が演説のインスピレーションになったという証拠も、演説の際に時計を身につけていたという証拠もないからである。いずれにせよこの時計の真の価値は、その象徴性ではなく、その唯一性と出所の確かさにある。

かの有名な“V”サインをするウィンストン・チャーチル。(写真は帝国戦争博物館所蔵)

サザビーズは、この時計の想定落札価格を1万5000ポンドから2万5000ポンド(掲載時点で約1万9000ドルから3万2000ドル、当時のレートで約270万円から約460万円)と見積もっている。このロットは時計愛好家というよりも、ウィンストン・チャーチルの遺品を収集しているコレクターに喜ばれるのではないだろうか。前者の時計愛好家であれば、この時計のコンディション(ケース上部のプッシャー付近に激しい打痕があり、文字盤の4時と5時のあいだに剥離が見られる)を差し引いても、自分の時計コレクションに加えるべき貴重な1本を手に入れたいと思うに違いない。

3種のセイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデルが登場!

1965年に国産初のダイバーズウォッチを発表したのを皮切りに、1968年には10振動ハイビート300m空気潜水モデル、1975年には世界初のチタンケース600m飽和潜水モデルと、マイルストーンとなる名作を送り出してきたセイコー。そんな同社のダイバーズウォッチの歴史を継承し、ヘリテージデザインに最新技術を取り入れたモデルとして作られたのが、マリンマスター プロフェッショナル、1965 ヘリテージ ダイバーズ、そして1968 ヘリテージ ダイバーズ GMTとそれぞれに際立った個性を持つ、3つのセイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデルだ。

マリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル(SBDX067)

 SBDX067は、プロフェッショナルダイバー向けのフラッグシップモデルで、1968年に発表された10振動ハイビート300m空気潜水モデルのデザインを踏襲しつつ、機能的には1975年の600m飽和潜水モデルをベースとした過酷な環境に耐えうる仕様となっている。

1968年に発表された10振動ハイビート300m空気潜水モデルのオリジナル。上下のラグを鏡面で繋いだ流線型のフォルムが特徴。裏ぶたのないワンピース構造の300m防水ケースに搭載した画期的なモデルで、1970年には日本山岳会の植村直己(※)、松浦輝夫の両氏がエベレスト登頂にこのモデルを携行。今日ではプロテクターつきモデル(1975年)と並んで、セイコーのダイバーズウォッチの代名詞となっている。

※余談だが、エベレスト登頂時に植村直己がつけていたのはこのモデル。1974〜76年にかけて行われた同氏による北極圏1万2000kmの犬ぞりの旅に携行されたのが、いわゆる“植村ダイバー(1970年登場)”だった。

 本作はチタン製ワンピース構造の600m飽和潜水用防水仕様で、その証としてダイヤルに“PROFESSIONAL”の文字が記されている(セイコーのダイバーズウォッチでは、飽和潜水用防水仕様のモデルがプロフェッショナルの名を文字盤に持つ)。ケース内に侵入したヘリウムガスによる内圧上昇で風防が破壊されるリスクを避けるため、飽和潜水対応のダイバーズウォッチではケースに穴を開けてガスを排出するバルブを設けるのが一般的だが、セイコーではそもそもヘリウムガスをケース内に侵入させないという独自の発想のもと、きわめて機密性の高い600m飽和潜水用防水ダイバーズを1975年に開発した。

 本作においてもオリジナルモデルが持つような優れた機密性が確保されているが、従来のデザインではケース表面に配置されていた回転ベゼル固定用のネジを裏面に移動し、より洗練されたデザインとなった。さらにベゼル表示リングにはDLCコーティングを施したステンレススティールを採用し、従来の約6倍の表面硬度を実現している。

 加えて、新開発のブレスレットは、コマひとつひとつに丸みを持たせ、肌に優しくなじむように設計。短いピッチでしなやかに動くことで、抜群のフィット感と快適な装着感を目指した。

 ダイヤルは深海をイメージした深みのあるブルーカラーに精緻な波模様の型打ち装飾を施している。これに加え、新たな試みとしてダイヤル表面を透明な塗料で厚くコーティングし、ていねいに磨き上げることで、これまでのモデルでは表現できなかった奥行き感と艶やかな質感を実現させた。

 そしてムーブメントには新開発のCal.8L45を搭載。セイコー独自のスプロン(Spron)合金を動力ぜんまいに採用していることに加えて、その形状や設計を改良。厳密な精度調整を行うことで、セイコーの現行機械式のなかで最も安定した精度(日差+10秒~=5秒)と約72時間のパワーリザーブを確保した。さらにこのムーブメントは、特別な固定方法でケースに収めることにより堅牢性が強化され、過酷な水中環境にも対応できる設計が取り入れられた。

 深海をイメージした精緻な波模様のダイヤルを採用し、さまざまな技術革新により、洗練された外観とプロフェッショナル向けのフラッグシップモデルにふさわしい性能を備えた本作。世界限定600本(うち国内は200本)で、価格は71万5000円(税込)。裏蓋にはシリアルナンバーが刻印され、2025年7月11日(金)の発売を予定している。

ダイバーズ 1965 ヘリテージ セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル(SBDC213)

 本作はモデル名にもあるとおり、1965年に発表されたセイコー初のダイバーズウォッチのデザインをもとにしており、オリジナルの意匠を受け継ぎながら現代的なアップデートが施されている。まずダイヤルには、セイコーダイバーズの象徴でもある“ウェーブマーク”から着想を得たダイナミックな型押しパターンを採用。これは荒々しい海の情景をイメージしたデザインで、光の加減で異なる表情を見せる。

 ケースはオリジナルと同様の比較的シンプルなスタイルだが、ベゼルの表示リングにはグレーの配色を採用することでモダンな印象を演出する。また新開発されたクラスプにより、最大約15mmの調整幅を確保し、6段階でのサイズ調整が可能となった。

 本モデルにはコンパクトな自動巻き機構を特徴とするCal.6R55を搭載。300m空気潜水用防水を確保しつつ、72時間のロングパワーリザーブを備え、日差+25秒~=15秒の精度を実現する。世界限定6000本(うち国内は2000本)で、価格は19万2500円(税込)。5月10日発売予定だ。

1965年に、国産初のダイバーズウォッチとして発売されたオリジナルモデル。コンパクトながら卓越した視認性を備え、当時としては画期的な150mの防水性能や優れた耐久性を実現した。

ダイバーズ 1968 ヘリテージ セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル(SBEJ027)

 こちらは前述のマリンマスター プロフェッショナル(SBDX067)同様、1968年に発表された10振動ハイビート300m空気潜水モデルをオマージュし、そこに現代的なアレンジを加えたデザインを特徴とする。

 ダイバーズ 1965 ヘリテージ(SBDC213)同様、ダイヤルは“ウェーブマーク”にイスパイアされたダイナミックな型押しパターンを施し、ブルーグラデーションのカラーリングを取り入れる。300m空気潜水用防水を確保しており、ダイバーズ 1965 ヘリテージ(SBDC213)よりも視認性の高い太めのインデックスと針を備える。

 ムーブメントはダイバーズ 1965 ヘリテージ(SBDC213)の持つCal.6R55と基本的な性能は大きく変わらないが、新たにGMT機能を備えたCal.6R54を搭載する。GMT針を単独で調整できるため、ローカルタイムの変更が容易で、旅行時に実用的な機能を提供する。また本作も新開発のクラスプを備えており、最大約15mmのサイズ調整が可能だ。こちらも世界限定6000本(うち国内は2000本)で、価格は24万7500円(税込)。発売は6月6日を予定している。

ファースト・インプレッション
セイコーのダイバーズウォッチ誕生60周年を記念したこれら3つのモデルは、前述したようにかつてのオリジナルダイバーズにデザインソースを求めつつ、より進化したスペックを持つところが魅力であることは間違いない。だが、筆者にとって印象的だったのは、いずれのモデルもその上で普段使いする際の使い勝手や、実用性に配慮された仕上がりを備えているという点だ。

新開発されたクラスプ。

 たとえば、新開発されたクラスプ。簡単な操作でブレスレットのサイズ調整を可能にしている。最大約15mmの調整幅があり、着用した状態でクラスプを閉じたまま、サイドにあるボタンを両側から押すことで長さが簡単に伸縮。調整の幅は約2.5mmずつ、6段階で行うことができる。これは潜水時の気圧の変化によって受ける影響を緩和するためにサイズ調整を可能にする機能ではあるが、どちらかというとその主眼は、日常生活における腕周りのサイズ変化に対応し、常に快適な着用感が得られるところにあると思っている。なお、SBDX067のクラスプに関しては従来からの仕様で、調整幅30mm、約2.3mmごと13段階と、ウェットスーツの上からの着用を想定しているため調整幅が広い。

 ほかにもマリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル(SBDX067)における、回転ベゼル固定用のネジを裏面に移動した構造も、日常での使い勝手を意識したものだ。2015年に発表されたマリーンマスター プロフェッショナル国産ダイバーズウオッチ50周年記念限定 JAMSTECスペシャルモデルと見比べると、よりわかりやすいだろう。

 従来はケース表側に露出していた回転ベゼルが外れるのを防ぐためのネジが、新作ではケースの裏面に取り付けられるように構造が変更されたわけだが、やはり従来のスタイルでは表側のネジが無骨な印象を与える。新作ではそのネジが表側からは見えなくなったため、ずいぶんすっきりとした印象になった。

 さらに印象的なのはダイヤルだ。本モデルは、ダイヤルのベースに精緻な波模様の型打ちを施すとともに、ダイヤルをプレスしてインデックスを立体的に一体成形している(本作は表側からプレスをし、夜光を充填する部分と波模様をへこませている)。ちなみにセイコーのダイバーズウォッチでは、潜水用防水である“DIVER’S XXXm”表記をダイヤルに持つモデルはこのような一体成形のインデックスを持つものが多い(現行モデルに限っていえば、セイコーのダイバーズはすべて一体成形のインデックスを採用する。ただし厳密に言うと、手法としてはプレスとエンボスの両方が存在している)。これは万が一強い衝撃を受けてもインデックスが外れることがない本格的な仕様である。本作はダイヤルに厚い透明な塗料を塗って磨きあげているそうだが、担当者曰く、これが非常に手間を要する工程らしい。そのため、ダイヤルの開発から発売に至るまで約4年もの年月を費やしたという。特別なモデルだからこそ挑戦できた試みといえよう。

 マリンマスター プロフェッショナル セイコーダイバーズウオッチ 60周年記念 限定モデル(SBDX067)のみが、ほかの2本と比べて価格設定が高いが、これはもちろんフラッグシップであるという意味合いがあると同時に、開発に長い時間がかかってしまったためという実情も反映してのことのようである。

ジャガー・ルクルトは2025にて新作およびアップデートされたモデルの数々を発表した。

ブランドの人気モデルレベルソ・トリビュート・スモールセコンドのモノフェイスとデュオフェイスのバリエーションだ。モノフェイスには、18Kピンクゴールド製の新モデルが登場している。ケースと同素材で仕上げられたピンクゴールド製のミラネーゼブレスレットが組み合わされ、エレガンスが際立つ仕上がりだ。一方、トラベルユースにも適したデュオフェイスには、ホームタイム用のダイヤルとしてブラックとブルーの2色が用意されている。これらの新作は、1930年代に誕生したレベルソのオリジナルデザインに現代的なアレンジを加えたものだ。ジャガー・ルクルトはこの唯一無二のレベルソの魅力を、今なお巧みに広げ続けている。

レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド Ref.Q713216J
まずはレベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド Ref.Q713216Jから紹介しよう。この新作は、現在カタログにラインナップされているスティールおよびピンクゴールドの既存モデル群に加わる形で登場したものだ。今回の大きな変更点は、ピンクゴールドのダイヤルにグレイン仕上げを施していること、そして同素材のピンクゴールド製ミラネーゼスタイルブレスレット(スライディングクラスプ付き)が組み合わされたことにある。スペックの詳細は下記に記すが、このモデルのサイズは横27.4mmで厚さは7.56mm、ラグ・トゥ・ラグは45.6mmで、ムーブメントにはジャガー・ルクルト製の手巻きCal.822を搭載し、パワーリザーブは42時間を誇る。

このピンクゴールド尽くしのレベルソ Ref.Q713216Jは限定生産ではなく、価格は642万4000円(税込)となっている。

レベルソ・トリビュート・デュオフェイス・スモールセコンド Ref.Q398847J/Ref.Q3988481
続いて紹介するのは、レベルソにおいて実用的な1本であり、僕のお気に入りでもあるデュオフェイスだ。このモデル最大の特徴は、表と裏にふたつの文字盤を備えていること。つまり“1本でふたつの時計を持つ”ような感覚が楽しめる構造になっている。それぞれのダイヤルに異なるタイムゾーンを表示できるため、たとえば旅先ではケースをくるっと反転させて現地時間に合わせ、自宅の時間を知りたくなったときはもう1度裏返せばいい。

新しいデュオフェイスでは、ブルーとブラックのいずれかのローカルダイヤルを選ぶことができ、裏返せばどちらもシルバーのダイヤルが現れる。

今回発表された2モデルはジャガー・ルクルトの既存コレクションに近いデザインを持ちながら、同一設計のケースに異なるカラーバリエーションを取り入れている。また、それぞれのダイヤルには新しい仕上げが施されており、2025年モデルとして現行品との差別化が行われている。まずはブラックダイヤルのモデル(Ref.Q398847J)を見ていこう。ローカルタイム用にブラックダイヤル、ホームタイム用にはシルバーダイヤルを備えており、後者には24時間表示も加わっているため、AM/PMを取り違える心配もあまりない。

もしブルーのほうがお好みなら、Ref.Q3988481が同様の仕様でありながらローカルダイヤルにブルーを採用している。両モデルともサイズは横28.3mmで厚さが10.34mm、ラグ・トゥ・ラグは47mmで、ダイヤルカラーに合わせたカーサ・ファリアーノのデザインによる交換用ストラップが付属する。ムーブメントはいずれもジャガー・ルクルト製の手巻きCal.854を搭載しており、42時間のパワーリザーブを備えるほか、デュアルタイム表示と24時間表示に対応している。

これら2本のスティール製デュオフェイス・スモールセコンド(Ref.Q398847JおよびRef.Q3988481)はレギュラー展開されており、いずれも価格は212万9600円(ともに税込)となっている。

我々の考え
レベルソには、誰もが抗えない何か特別な魅力がある。そこにジャガー・ルクルトの確かな時計製造技術が加わることで、レベルソは時計界において唯一無二の体験を提供してくれる(僕自身も、そう感じているひとりだ)。

今回の新作は既存のレベルソコレクションのフォーマットを拡張したような位置づけではあるが、どちらのモデルもとてもよく仕上がっていると思う。個人的にレベルソにブレスレットを組み合わせるという発想が大好きだし、そこにあの美しいグレイン仕上げのダイヤルが加わることで、18Kローズゴールドの新しいモノフェイスは非常に魅力的な1本に仕上がっている。もちろん価格もなかなかのものだが、見れば納得、というやつだ。

そしてデュオフェイスについてだ。どちらのバリエーションもとても好みだが、僕はたぶんブラックダイヤルを選ぶだろう。裏面のシルバーダイヤルとのコントラストがより映えると感じるからだ。1本の時計で、まるで2本の時計を持っているかのような構成。それでいて見た目はシンプルでドレッシー。機能的でありながらエレガントで、そこにはさりげない華やかさもある。そんな絶妙なバランスこそが、この時計の魅力だと思う。

2025の最新情報は、今後数日間にわたって引き続きお届けする予定だ。新作情報をチェックするなら、こちらをお見逃しなく。

基本情報
ブランド: ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre)

モデル名: レベルソ・トリビュート・モノフェイス・スモールセコンド(Reverso Tribute Monoface Small Seconds)
型番: Q713216J
直径: 27.4mm
厚さ: 7.56mm
全長: 45.6mm
ケース素材: 18Kピンクゴールド
文字盤色: ゴールド(グレイン仕上げ)
防水性能: 3気圧
ストラップ/ブレスレット: スライディングクラスプ付き18Kピンクゴールド製ミラネーゼブレスレット

モデル名: レベルソ・トリビュート・デュオフェイス・スモールセコンド(Reverso Tribute Duoface Small Seconds)
型番: Q398847J(ブラック&シルバー) / Q3988481(ブルー&シルバー)
直径: 28.3mm
厚さ: 10.34mm
全長: 47mm
ケース素材: スティール
文字盤色: ブラック&シルバー/ブルー&シルバー
防水性能: 3気圧
ストラップ/ブレスレット: カーサ・ファリアーノ製のカラーコーディネートされた交換用ストラップ2本、インターチェンジャブル仕様のダブルフォールディングクラスプ付き