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A.ランゲ&ゾーネの2024年発表モデルを振り返り
A.ランゲ&ゾーネ
(左)A.ランゲ&ゾーネスーパーコピー時計代引き 優良サイト「ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド “ルーメン”」
こちらは全部のせ。サファイアクリスタル製の文字盤を保持するため、パワーリザーブ表示が省かれている。あえてグリーンに発光するC1を選んだのは、白く発光するグレードだと輝度が高すぎるから。価格はさておき、完成度は圧倒的だ。手巻き(Cal.L952.4)。57石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kハニーゴールドケース(直径41.5mm、厚さ14.6mm)。3気圧防水。世界限定50本。要価格問い合わせ。
(右)A.ランゲ&ゾーネ「ダトグラフ・アップ/ダウン」
ティノ・ボーベが言う「初めて手に取る人にとって、最も好ましい組み合わせ」を実現した新作。レギュラーでおかしくない完成度を持つが、あくまで限定版。あえてケースにPtを選ばなかったのは、初めての人には重いという判断からか。手巻き(Cal.L951.6)。46石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KWGケース(直径41mm、厚さ13.1mm)。3気圧防水。世界限定125本。要価格問い合わせ。
2024年は「ダトグラフ」の発表から25周年に当たる。さぞやすごい記念モデルが出るのでは、と予想していたが、お披露目されたのはコスメティックチェンジの2作のみだった。ティノ・ボーベは率直に語る。「新しいモデルも作れなくはなかった。でも、顧客を待たせる中で新作を作るのはどうかと考えた。それに高い完成度を持つ時計に手を加える理由が見当たらなかった」。もっとも、A. ランゲ&ゾーネは注意深くふたつのモデルを選んだ。ハニーゴールドケースを持つ“ルーメン”はいわばダトグラフの“全部のせ”、そしてブルーカラーの「ダトグラフ・アップ/ダウン」は、初のダトグラフユーザーには最も好ましい組み合わせだろう。
正直、今年の方向性は筆者の好みとは全く異なる。しかし、明確な理由があってあえてコスメティックチェンジに留めるあたりが、A.ランゲ&ゾーネたる所以なのかもしれない。もちろんいずれの完成度も非凡だ。
アントニー・デ・ハスをインタビュー
A.ランゲ&ゾーネにとって、2024年はふたつのアニバーサリーが重なる年だ。ひとつは1994年のブランド復活と同時に登場した「ランゲ1」の30周年、そしてもうひとつが1999年に発表された「ダトグラフ」の25周年だ。前者は10月に大々的なセレモニーが予定されているというから、今年のW&WGはダトグラフイヤーということになる。同社の新作発表は例年寡作で、昨年は1本のみだったが、今年は2本のダトグラフがお披露目された。前年比200%の新作数だ。
[A.ランゲ&ゾーネ/商品開発ディレクター]Anthony de Haas(アントニー・デ・ハス)
1967年、オランダ生まれ。スイスの時計学校を卒業後、セイコーオランダに入社。1997年に入社したIWCでアフターサービスを担当した後、2002年、ルノー・エ・パピ(現オーデマ ピゲ ル・ロックル)に入社。A.ランゲ&ゾーネに招聘され、2004年に入社。2005年以降、同社のすべての製品の開発を統括する。そのモットーは「過去の焼き直しはしないこと」と言う。
まずは「ダトグラフ・アップ/ダウン」のリミテッドモデル。メカニズムの基本は、2012年に発表された約60時間パワーリザーブのCal.L951.6を搭載するが、ケースに18KWGを採用するのは今回が初の試み。ダイアルはブルーが組み合わされている。配布されたメディアリリースでも「現代に至るまで、トップクラスのクロノグラフを設計・製造することは、精密時計製作における最大の課題」とコメントする商品開発ディレクターのアントニー・デ・ハスは、次のように語った。
「アップ/ダウンに関しては、特に何も手を加えていません。その必要はありませんからね。ダイアルの色味も“アワーブルー(私たちの青)”と呼んでいる、古くから使い続けてきたPVD加工によるものです。あまり鮮やかな色ではありませんが、エレガンスとは少し控えめなものです。我々が求めているのはタイムレスであることです」
一方、「ダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨン・ハニーゴールド 〝ルーメン〞」は、過去最長となったモデル名が示すように、ダトグラフ史を彩ってきたバリエーションモデルを1本に凝縮させたような内容だ。興味深いことに、ダイアル外周部に存在していた、ディスク式のパワーリザーブインジケーターが姿を消している。
「過去の18KWGケースやPtケースでは、メタル製ダイアルを採用していましたから、9時と12時にサポート材を設けるだけで十分な強度が確保できました。しかしルーメンではサファイアガラス製ダイアルを用いるため、ダイアル外周部の全体を保持するようなサポート材に変更しています。これは通常のQPモジュールにもあるプレートですが、パワーリザーブインジケーターと両立させることはできません。例えば裏側に移設するというようなことも検討したのですが、全体的なバランスを考慮して白紙にしました。こうした調整は時計全体に及びます。例えばルーメンを構成するC1グレードのスーパールミノバの発光色がグリーンなのは、輝度が高すぎないようにするため。キャリッジが収まる部分の地板にペルラージュを打たず、ブラスト仕上げとしたのも審美性のためです。ペルラージュにはvキズ隠し”の意味もありますから、こちらのほうが難易度は高いのです」
とはいえ今回のダトグラフはあくまでもエクステンションだ。本当の“隠し球”は10月を待たなければならない。
注目の結果発表!
『クロノス日本版』の定番企画、「Chronos Top10 Watches Rankings」。選考委員がテーマに沿って、それぞれオススメモデル10本を選出。その中で、得票したベスト10を決定する企画だ。読者ランキングは、このベスト10の中からwebChronos読者が、それぞれの1位を選び、投票してもらうという趣旨である。
今回、現在の時計市場では極めてニッチな存在ではありながら、時計愛好家を中心に確かなニーズがある「〝傑作手巻きムーブメント〟を載せた腕時計」をランキングのお題とした。なお、手巻きであることをピュアに楽しむため、投票対象となった10本は「現行モデル」のほか、「時、分、秒、日付、パワーリザーブ表示以外の機能を搭載していないこと」を条件としたうえで選出されている。スーパーコピー時計代引き 優良サイトまた「手巻きムーブメントのランキング」ではなく、あくまで腕時計というパッケージとしてのランキングとなるため、同一ムーブメントであってもモデルが異なるものは区別している。
この10本から、2024年12月20日〜12月26日までの期間、webChronosの読者より受け付けた投票を結果として集計。なお、本誌の選者によるランキングと比較して、順位が上がったモデルには上向き矢印を、順位が下がったモデルには下向き矢印を、同順位のモデルには右矢印を見出しの前に付けた。
↘︎第10位
パテック フィリップ/カラトラバ 6119
パテック フィリップ カラトラバ 6119
パテック フィリップ「カラトラバ 6119」
手巻き。18KWGケース。524万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109
↗︎第9位
クレドール/ゴールドフェザー U.T.D.
クレドール ゴールドフェザー
クレドール「ゴールドフェザー U.T.D.」Ref.GBBY980
手巻き。18KPGケース。374万円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(クレドール)Tel.0120-302-617
[読者の投票理由]
・巻き上げが非常に軽やかで気持ちが良い。
・華やかだから。
・8mm以下という薄さに収めたムーブメントと、彫金の加工精度の素晴らしさです。
↗︎第8位
カルティエ/サントス デュモン
カルティエ サントス デュモン
カルティエ「サントス デュモン」
手巻き。18KYGケース。245万5200円(税込み)。(問)カルティエ カスタマー サービスセンター Tel.0120-1847-00
[読者の投票理由]
・死ぬほど迷った末に、伝統と革新を一番高次元に両立できている「サントス デュモン」を選びました。
・価格とのバランス。
・実用性を兼ね備える極薄型の名機430Pを採用する英断に感謝
→第8位
NAOYA HIDA&Co./NH TYPE 1D
NAOYA HIDA&Co.
NAOYA HIDA&Co.「NH TYPE 1D-3」
手巻き。18KYGケース。880万円(税込み)。(問)NH WATCH https://naoyahidawatch.com
[読者の投票理由]
・さすがのこだわりの(主ゼンマイの)巻き感。単純に巻き感が好みと言えばそれまでだが、巻いた時の音、重さ、バック感など「手巻き」というものを極めていると思うため。
・コハゼ改良による巻き味は勿論のこと、リュウズのサイズ、山の数など巻きやすく配慮されているところは、まさしく時間を見るというより主ゼンマイを巻くための時計と言っても過言ではない(過言)。
↘︎第8位
ローラン・フェリエ/クラシック オリジン
ローラン・フェリエ クラシック・オリジン
ローラン・フェリエ「クラシック オリジン」
手巻き。Tiケース。599万5000円(税込み)。(問)スイスプライムブランズ Tel.03-6226-4650
↘︎第8位
パルミジャーニ・フルリエ/トリックプティ・セコンド
パルミジャーニ・フルリエ トリック
パルミジャーニ・フルリエ「トリックプティ・セコンド」
手巻き。18KRGケース。709万5000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com
[読者の投票理由]
・着けている人、知っている人だけが分かるラグジュアリー感。ムーブメントもゴールド製、文字盤すらゴールド製で贅沢の極み!
・店舗で試着させてもらったら、収まり具合が素晴らしかったから。
・一目で分かるシンプルな美しさ。
↗︎第4位
ノモス グラスヒュッテ/タンジェント
ノモス グラスヒュッテ タンジェント
ノモス グラスヒュッテ「タンジェント」
手巻き。SSケース。37万1800円(税込み)。(問)大沢商会 Tel.03-3527-2682
[読者の投票理由]
・一見カジュアルに見えるが実はフォーマル寄り? 「タンジェント」に限らないが, デイトの有無やシースルーバックとソリッドバックを選べるブランドは貴重だと思います。
・青柳の針、高い視認性といった魅力だけではない。この価格帯で長きにわたって手巻きを作り続け、定番として世に広めたことが快挙だと思う。
・この価格帯で青焼き針。自分が自分のために買う時計の代表だと思う。
・この中で唯一の価格100万円以下のモデルだが、他のモデルと比べても見劣りしないところ。
・弟の初めての高級腕時計として今年購入したモデルだから。
↗︎第3位
ジャガー・ルクルトスーパーコピー時計代引き 優良サイト/レベルソ・トリビュート
ジャガー・ルクルト レベルソ・トリビュート
ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート」
手巻き。SSケース。164万5600円(税込み)。(問)ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833
[読者の投票理由]
・中の四角いムーブメントは見えないけれど、思いを馳せたくなる。
・Cal.822は至高!
↗︎第2位
グランドセイコー/エボリューション9 コレクション手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours
グランドセイコー エボリューション9コレクション
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション手巻メカニカルハイビート36000 80 Hours」Ref.SLGW003
手巻き。ブリリアントハードチタンケース。152万9000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617
[読者の投票理由]
・買ったので。
↗︎第1位
グランドセイコー/ヘリテージコレクション45GS復刻デザイン 限定モデル
グランドセイコー 45GS復刻デザイン
グランドセイコー「ヘリテージコレクション45GS復刻デザイン 限定モデル」Ref.SLGW005
手巻き。SSケース。134万2000円(税込み)。(問)セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) Tel.0120-302-617
[読者の投票理由]
・文句なくGS、「45GS」は未来に残ると思うし世界でも勝負できる素晴らしい時計。
・巻き味が素晴らしすぎます。
・45GSの復刻でSEIKOロゴが12時位置にあり、再現性が素晴らしい。また、ムーブメントは最新の手巻き毎秒10振動(ハイビート)のCal.9SA4搭載と、最高であるため。
・所有している。とても良い。
・初代をリスペクトしながら、随所に最新の技術を取り入れている点が評価できる。
・メイド・イン・ジャパンの実力。
・伝統のデザインにセイコー最新の手巻きムーブメント。表も裏も最高です。
・何度か復刻されていますが、やっとオリジナルを超える機械が搭載されたかなと。
1位:パルミジャーニ・フルリエ「トリック プティ・セコンド」
価格を度外視すれば、古典にならった真のグレインダイアル、薄型の新設計手巻きキャリバー、ストラップの質感まで含め、改めて振り返ってもっとも記憶に残っていたのが、本作だった。トータルバランスは、群を抜く。
パルミジャーニ・フルリエ「トリック プティ・セコンド」Ref. PFC940-2010001-300181-JP
パルミジャーニ・フルリエ「トリック プティ・セコンド」Ref. PFC940-2010001-300181-JP
スーパーコピー代引き 優良サイト手巻き(Cal.780)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KRGケース(直径40.6mm、厚さ8.8mm)。709万5000円(税込み)。(問)パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com
2位:ショパール「L.U.C XPS フォレストグリーン」
ノンデイトのセクターダイヤルで、マイクロローター式の薄型自動巻きを搭載──個人的な琴線にまさに触れた。おそらく戦略的であろう、値付けも好印象。ダイアルとストラップの色調も良く、オールマイティーに使える。
ショパール「L.U.C XPS フォレスト グリーン」Ref.168629-3001
ショパール「L.U.C XPS フォレスト グリーン」Ref.168629-3001
自動巻き(Cal.L.U.C 96.12-L)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。ルーセントスティールケース(直径40mm、厚さ7.2mm)。30m防水。174万9000円(税込み)。(問)ショパール ジャパン プレス Tel.03-5524-8922
3位:タカノ「シャトー・ヌーベル クロノメーター」
シャトーヌーベル・クロノメーター
タカノ「シャトーヌーベル・クロノメーター」Ref.PWT
自動巻き(Cal.90T)。24石。28800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径37mm)。3気圧防水。88万円(税込み)。(問)タカノ https://takanowatch.jp/
ブザンソン天文台クロノメーターを取得することで、日本の素晴らしい工業技術を世界に発信したいという心意気を買う。ザラツ研磨を前提とした二次曲面構成のケースデザインは、さすが浅岡肇氏らしく手抜かりがない。
4位:Naoya Hida & Co.「NH Type 5A」
“人気が出ない”と言われ続けてきたレクタンギュラーにあえて挑んだ意欲作。プゾー7001改の角型ムーブメントは、手巻きのしっかりとした感触が心地いい。2ピース構造のドーム型サファイア風防の出来栄えは、圧巻。
NAOYA HIDA & Co.「NH TYPE 5A」
NAOYA HIDA & Co.「NH TYPE 5A」
手巻き(Cal.2524SS)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約38時間。SSケース(全長33mm、全幅26mm、厚さ9.1mm)。3気圧防水。330万円(税込み)。(問)NAOYA HIDA & Co. naoyahidawatch.com
5位:オーデマ ピゲ「リマスター 02」
発表直前に個人的に見せてもらった際、「今、予約できますよ」といわれ、思わず「買います」と返事しそうになった。クラシック好きだが、実はこうした時代のあだ花的なデザインも大好物。金と為替の相場が、憎い。
オーデマ ピゲ「リマスター02 オートマティック」
Photograph by Masahiro Okamura (CROSSOVER)
オーデマ ピゲ「リマスター02 オートマティック」
自動巻き(Cal.7129)。31石。2万8800振動/ 時。パワーリザーブ約52時間。18Kサンドゴールドケース(横41mm、厚さ9.7mm)。3気圧防水。世界限定250本。682万円(税込み)。(問)オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000
総評
世界から軍靴の音はなかなか消えてくれないが、ほぼ完全に日常が戻ってきた今年、時計界も華やかで多様な時代に返り咲いた。セントラルトゥールビヨンを筆頭にユニークなコンプリケーションがいくつも散見でき、これらを支える腕利きのムーブメント会社が再注目された年であった。シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトンといった非時計専業ブランドの、上質かつ独創的な時計製作も、彼らなしでは成しえなかった。またタイムオンリーウォッチも素材や質感、色に凝り、個性を競い合っていた。
中でもダイアルの色付けにPVDが多用されるようになったことで、色と質感のコントロールがたやすくなったことも、多様化を後押ししているのだろう。パテック フィリップの隠し玉「Cubitus」が10月に登場して話題をさらったものの、“ラグスポ”一辺倒からは脱却を果たし、上質なクラシックウォッチが台頭し始めてきたのは、個人的には喜ばしい傾向である。
そして多くのブランドが、より高級化を図っていた。金相場の高騰、円安のダブルパンチで日本での時計価格がますます高騰しているのは、致し方なし。そうした中で、クロノトウキョウや大塚ローテックのような、手ごろな価格で質が高く、オリジナリティー豊かな日本のマイクロメゾンに熱い視線が注がれている。11月に香港で行われたフィリップスのオークション「TOKI-刻-」での、日本勢の高額落札ラッシュも、記憶に新しい。これも多様化を象徴する、出来事である。
選者のプロフィール
髙木教雄
時計ジャーナリスト。工学部で培った知見と、圧倒的な取材経験によって裏付けされた原稿が魅力的な業界随一の理論派である。その豊富な知識と鋭い視点で切り込んでいく時計専門誌向けの記事から、一般誌での時計特集、新聞での初心者向け記事など、活躍のフィールドは幅広い。世界文化社から機械式時計の入門書、『腕時計のしくみ』『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ【複雑時計編】』を上梓。