新しいブリュー メトリック オートマティックが登場。

500本限定でリリースされる“ブリュー メトリック”は、無駄を省いて洗練された印象に仕上げた、時刻表示のみの時計だ。
ブリューウォッチはリミテッドバージョンであるメトリック クロノグラフのデザインを新たに発表したばかりだが、こちらは機械式自動巻きムーブメントを搭載した時刻表示のみの時計で、525ドル(日本円で約7万7000円)というお値打ち価格の商品として登場した。
ブリュー メトリック オートマティック
メカクォーツムーブメントを排除し、セイコー製NH35Aを採用することで、時刻表示のみかつ、36mm径(全長41.5mm)、厚さ10.75mmの堅牢なステンレス製ウォッチが手に入る。コーヒー豆に似たブリューのロゴは12時位置にセットされ、ポリッシュ仕上げのSS製インデックスの外側にあるオレンジのアクセントは、同じくオレンジに塗られたロリポップの針とマッチ。またそれらの締めくくりとして、70年代にインスパイアされたヴィンテージウォッチを現代風にアレンジしたような、クリーミーな夜光をアクセントとして配している。
この時計は現在ブランドのウェブサイトで販売されており、500本限定で提供される。
我々の考え
正直に言おう。今年も半ばに差し掛かり、私は少しリリース疲れを感じ始めている。1年をとおして何度も時計をリリースしているブランドはたくさんあるが、多くの場合はダイヤルが変わるだけで、それ以外が出ることはあまりない。クラシック音楽が好きな人には、これが1900年代初頭のように感じられるといえば理解いただけるだろうか。すべてが“テーマによる変奏曲”なのだ。とはいえ新しいメトリック オートマティックは、ブリューのようなブランドが余計なことをせずに改良を重ねることのできるデザイナーを指揮官に据えることで、いかに恩恵を受けるかを示している。
ブリュー メトリック オートマティック
新しい時計は、私が先月直接対決させた2本のメトリック クロノグラフからインスピレーションを得ていることは間違いないが、無理をせずによくデザインされた、完璧な中間点に達していると思う。私はロリポップ針(どの時計から着想を得たのかは定かではないが、個人的には昔のニバダ グレンヒェン CASDを思い出す)が大好きで、ダイヤルにはあのメトリック クロノグラフで気に入っていたポルシェデザインの雰囲気が今でも残っている。クロノグラフは大好きだが、実際にはほとんど機能自体使っていないので、この機能を省いた機械式のオプションのほうが理にかなっている。
プレスリリースには“ディスプレイケースバック”と記載されているが、写真を見た感じだとそこまでは言えない。とはいえ腕時計を初めて扱う人の多くは、機械部品の動きを垣間見ることができる“ハートビート”ダイヤルやスケルトナイズされた腕時計に魅了されることを知っている(ムーブメントの仕上げや品質に関係なく)。私は10年以上前にスケルトンのフォッシルを購入したが、歯車が動くのを見ると、世界で最も高価な時計を持っているように感じたものだ。バランスホイールが動いているのを見ることができるということは、一般的に525ドル(日本円で約7万7000円)の価格帯に引き寄せられる新規ユーザーの目を引くものであり、特にほかのパッケージが非常にしっかりしていれば、少なくとも熟練のマニアにとってマイナスにはならないだろう。
ブリュー メトリック オートマティックのデザイン
基本情報
ブランド: ブリュー(Brew)
モデル名: メトリック オートマティック(Metric Automatic Steel)
直径: 36mm×41.5mm
厚さ: 10.75mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: バー(ファセット加工)
夜光: あり、針とインデックスの端
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: サテン仕上げとポリッシュ仕上げのSS製、クイックリリーススプリングバー付き
ブリュー メトリック オートマティックのリストショット
ムーブメント情報
キャリバー: NH35A(セイコー製)
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 27.4mm
厚み: 5.32mm
パワーリザーブ: 約40~時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24
クロノメーター: なし
価格 & 発売時期
価格: 525ドル(日本円で約7万7000円)
発売時期: すぐに、8月21日から発送
限定: あり、500本限定

アンティークウオッチからコンテンポラリーな時計まで幅広く似合うコレクションを展開。

今秋は薄型レザー、おすすめです【ワンランク上の薄型×高品質】年中使えるグレインレザーの注目ベルト

世界的な時計愛好家によって2017年に創設された“ノスタイム”は、こだわりの商品を揃える気鋭の時計ベルトメーカーだ。アンティークウオッチからコンテンポラリーな時計まで幅広く似合うコレクションを展開。高い質感と豊富なカラーバリエーションが特長だ。

欧米を中心に、世界各国からレザーを中心とした素材を調達。選び抜かれた上質な素材を目の肥えた趣味人ならではのトレンド感のある色使いで仕上げ、ほかのブランドにはない唯一無二の魅力を生み出している。

ノスタイム
STANDARD STRAP(グレインカーフ)

■ベルトの取り付け幅は18、19、20mmの3サイズ。エクリュ、グレイトウプ、グリーン、ブラウン、タン、ネイビー、ブラック、トウプ、スレートブルーの9色。各1万4300円

今回は、同ブランドを代表する“STANDARD STRAP”のなかから、人気のグレインカーフモデルをセレクト。通常のレザーにシボ加工を施して薄型に仕上げられており、先端に向かって徐々に幅が絞られるテーパー状のスタイリッシュな形状をもつノスタイムの代表コレクションだ。

購入直後においても一般的なレザー特有の硬さはなく、薄型で柔らかいソフトな質感。表面のシボやシワ感で傷や汚れが目立ちにくく、軽い質感に仕上げられているが、通常のレザーに劣らない耐久性をもつのもポイントだ。

肌なじみが良く、暖かい時期でも蒸れにくく快適に着けやすい。工具不要で手軽にベルトを交換できるのもうれしい。

これからの時期に活躍するレザーベルトとして活用できるのはもちろん、薄くて軽量で夏でもストレスを感じにくいため、1年をとおして使用できる革ベルトとしてぜひチェックしてほしい。

腕時計のプレゼントにはどんな意味がある?

大切な人への贈り物として腕時計を検討している人は多いでしょう。腕時計のプレゼントには、ただのアクセサリーではなく、時間を共有したいという想いや、いつもそばにいてほしいという気持ちなど、さまざまな意味やメッセージが込められています。

この記事では、腕時計のプレゼントに隠された意味を詳しく解説します。また、贈る際に注意すべきポイントや、男性・女性それぞれにおすすめのモデルも紹介します。

まずは、腕時計のプレゼントに込められる代表的な3つの意味を見ていきましょう。

あなたと時間を共にしたい
腕時計が時間を表すアイテムであることから、「これからも一緒に時間を過ごしていきたい」「あなたとの時間を大切にしたい」というロマンチックなメッセージが込められています。

恋人同士はもちろん、夫婦間でも、お互いの時間を共有し続けたいという深い愛情の表れとして腕時計が贈られることが多いです。時計の針が進むように、2人の関係も歩み続けていこうという願いも込められています。

毎日腕時計を見るたびに、贈り主からの愛情を感じられるため、時間という概念と愛情を結びつけた、とても意味深いプレゼントといえるでしょう。

いつも身に着けていてほしい
腕時計は日常的に身に着けるアイテムであることから、「離れていてもそばにいるような存在でいたい」という意味が込められています。距離が離れていても、腕時計を見るたびに贈り主のことを思い出してもらえるでしょう。そのため、遠距離恋愛のカップルや、単身赴任をしている夫婦などによく見られる意味です。

また、家族や大切な友人に対しても、いつも見守っているという気持ちを表現する方法として選ばれます。腕時計が持つ「常に身に着ける」という特性を活かした、とても温かいメッセージが込められているのです。

これからの人生の節目を応援する
就職や昇進、卒業、成人などの人生の重要な節目に腕時計を贈ることで、「これからの時間が充実したものになるように」というエールの意味が込められています。新しいステージに進む相手を応援し、時間を大切にして頑張ってほしいという気持ちが表現されています。

特に社会人になる際には、時間管理の重要性を伝える意味も含まれています。腕時計は実用的でありながら、人生の新しい章の始まりを祝福するシンボルとしても機能します。贈られた人は、困難な時でも腕時計を見ることで、応援してくれる人がいることを思い出し、励まされることでしょう。

腕時計をプレゼントする際の注意点
腕時計をプレゼントする際には、相手に喜んでもらうためにさまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、腕時計を贈る前に確認しておきたい重要なポイントを解説します。

文化や風習
腕時計をプレゼントする際に最も注意すべきは、文化や風習による違いです。中国や台湾などの一部のアジア圏では、「時計=終わり・死」を連想させるため、縁起が悪いものとされています。

そのため、特にビジネス関係や正式な場面での贈り物では、相手の出身地や文化的背景を事前に確認することが大切です。国際的な職場や多国籍の友人関係がある場合は、慎重になる必要があります。相手の文化を尊重し、不快な思いをさせないよう配慮することで、よりよい関係を築けるでしょう。

相手の好みやライフスタイル
腕時計選びで重要なのは、相手の好みやライフスタイルを十分に把握することです。スマートウォッチを愛用している人にアナログ時計を贈っても、使ってもらえない可能性があります。また、普段カジュアルな服装が多い人にフォーマルな高級時計を贈っても、使う機会が限られてしまいます。

さらに、そもそも腕時計を普段つけない人もいることを頭に入れておかないといけません。スマートフォンで時間を確認する人や、アクセサリー類を身に着けることを好まない人には、腕時計自体が不要なアイテムになってしまう可能性があります。事前に相手の普段の様子を観察し、どのようなアイテムを好むかを把握しておくことが大切です。

サイズ感や着け心地
腕時計は毎日身に着けるものなので、サイズ感や着け心地は非常に重要です。手首のサイズに合わない腕時計は、きつすぎて不快感を与えたり、緩すぎて落としてしまったりするリスクがあります。そのため、ベルト調整ができるタイプを選ぶと安心です。金属ベルトなら専門店でサイズ調整ができ、レザーベルトなら穴の位置で調整可能です。

また、時計の重さや大きさも人によって好みが大きく分かれます。軽くて小さなものを好む人もいれば、存在感のある重厚なデザインを好む人もいます。可能であれば、相手が普段使用している時計のサイズや重さを参考にすることをおすすめします。

価格帯
腕時計の価格帯は、贈る相手との関係性を考慮して慎重に決める必要があります。あまりに高価すぎる時計は、相手にとって心理的な負担となることがあります。恋人や配偶者であれば高価な時計も喜ばれるかもしれませんが、友人や同僚に数十万円の腕時計を贈ると、お返しの心配をさせてしまったり、関係がぎくしゃくしてしまったりする可能性もあります。

また、価格があまりに高いと、壊してしまうことを恐れて結局使わないという場合もあります。相手との関係性と、相手が気軽に使える価格帯を考慮して選ぶことが、長く愛用してもらうためのコツです。

メンテナンスや電池交換の必要性
腕時計の種類によって、メンテナンスの必要性が大きく異なることも考慮すべきポイントです。自動巻きや機械式の時計は、定期的なメンテナンスが必要で、取り扱いにも専門的な知識が求められます。巻き方や保管方法を間違えると、故障の原因となることもあります。

一方で、ソーラー式やクォーツ式の時計なら、初心者でも扱いやすく、メンテナンスの頻度も少なくて済みます。相手が時計に詳しくない場合は、扱いやすいタイプを選ぶことで、長く愛用してもらえるでしょう。贈る前に、相手がどの程度時計のメンテナンスに時間をかけられるかを考慮することが大切です。

男性へのプレゼントにおすすめの腕時計
男性への腕時計のプレゼント選びでは、実用性とデザイン性のバランスが重要です。ビジネスシーンでも日常でも使える汎用性の高いモデルや、長く愛用できる上質なブランドの時計が喜ばれる傾向にあります。ここでは、男性へのプレゼントに特におすすめの3つのモデルを紹介します。

IWC パイロットウォッチ マーク18 デイト (IW327011)

パイロットウォッチ マーク18 デイト (IW327011)は、IWCの代表作でもあるパイロットウォッチシリーズの中でも、特に人気の高いモデルです。航空機のコックピットからインスピレーションを得たデザインは、洗練された印象を与えます。

日付表示機能のみを搭載した無駄のないシンプルな文字盤は、視認性に富んだ実用性の高いデザインとなっています。ブラックの文字盤に白いインデックスのコントラストが美しく、どんな角度からでも時刻を正確に読み取れます。

ステンレススチールケースとレザーストラップの組み合わせは、ビジネススーツからカジュアルウェアまで、シーンを選ばず使える汎用性の高さが魅力です。

IWC パイロットウォッチ マーク18 デイト (IW327011)の商品詳細

タグホイヤー カレラ クロノグラフ (CV2017)

カレラ クロノグラフ (CV2017)は、タグホイヤーの中でも高い人気を誇るカレラシリーズの代表的なモデルです。モータースポーツからインスピレーションを得たスポーティーなデザインでありながら、エレガントさも兼ね備えています。

落ち着いたシルバーの文字盤は、年齢を問わず多くの男性に愛され、ビジネスシーンからプライベートまでシーンを選ばない使いやすさがあります。日付表示機能に加えて、ストップウォッチ機能を搭載したクロノグラフが特徴で、実用性と機能性を重視する男性には特に喜ばれるでしょう。

スイス製の高品質なムーブメントと、耐久性に優れたステンレススチールケースにより、長年にわたって愛用できる信頼性の高い1本です。

タグホイヤー カレラ クロノグラフ (CV2017)の商品詳細

グランドセイコー クオーツ (SBGX061/9F62-0AB0)

クオーツ (SBGX061/9F62-0AB0)は、日本が誇る高級時計ブランドであるグランドセイコーの使いやすいクオーツモデルです。電池式のため、自動巻きのような毎日の巻き上げが不要で、時計初心者でも扱いやすいです。

無駄のないシンプルなデザインとモノトーンのカラーリングが特徴で、日本らしい繊細な美しさを表現しています。また、文字盤の仕上げやインデックスの配置もこだわり抜かれています。

ケースサイズもちょうどよく、存在感と高級感を兼ね備えながらも、派手すぎない上品さが魅力です。年齢を重ねても飽きのこないデザインで、長期間愛用できる1本として多くの男性に支持されています。

グランドセイコー クオーツ (SBGX061/9F62-0AB0)の商品詳細
関連記事:メンズ腕時計の人気ブランドを一挙紹介!年代別のおすすめモデルも

女性へのプレゼントにおすすめの腕時計
女性への腕時計のプレゼントでは、エレガンスとファッション性が重視されます。日常使いからフォーマルなシーンまで対応できる上品なデザインや、ブランドの個性が光る特徴的なモデルが喜ばれる傾向にあります。ここでは、女性へのプレゼントに特におすすめの3つのモデルを紹介します。

ジン(Sinn)にはいくつか定番人気のモデルがあるが、特に356。

特に356 フリーガーは40mmを切る小径のクロノグラフウォッチとして評価が高い1本だ。1996年に日本限定で販売された手巻きクロノグラフ(ちなみに300本限定)に端を発するもので、同作の大成功を受ける形で1998年より自動巻き化(当時はETA社製のCal.7760を搭載)をしてレギュラーに加わった。256 パイロット・クロノグラフから回転ベゼルを取り払ったスリムで洗練されたデザインは、実用的なツールウォッチを求める愛好家に長らく愛されてきた。1994年にリリースされたIWCのメカニカルフリーガークロノにも通じるところがあるが、1994年にIWCのエンジニアであったローター・シュミット氏が経営を引き継いだところにその要因があるかもしれない。そして2023年に、356 フリーガーはレギュラー化から25周年を迎えた。ジンはその記念すべき年に、“356”の名前を冠しつつもまったく新しい356 フリーガー・クラシックJUBをリリースする。

356 フリーガー・クラシックJUBでジンは、ツーカウンターをバイコンパックスで配置した。マットな仕上げのアンスラサイトダイヤルにシルバーのスモールセコンドと30分積算計が並び、その上をシリンジ針の時分針、およびクロノグラフ針が回る。従来の356 フリーガーと同じフォントを踏襲したインデックスは夜光塗料のプリントで表され、12時位置に移動したブランドロゴはアプライドになることで特別感を強調しているように見える。なお、ミニッツトラックにはクロノグラフ使用時に4分の1秒を計測できるよう目盛りが加えられた。

ケース径は38.5mmで厚さは15mm、リューズの形状に沿ってせり上がるようなリューズガードやドリルラグなど、ケースについては従来の356 フリーガーと変わらない。表面のサンドブラスト仕上げも同様だ。レギュラーモデルでは強化アクリルを使用しているハイドーム型風防は、両面に無反射加工を施したサファイアクリスタルに変更が入り(既存モデルでも356.SA.FLIEGERや356.SA.FLIEGER.IIIなどはサファイアクリスタルを使用)、より高い視認性と高級感を演出している。なお、今作ではケースバックもサファイアクリスタルになった。ムーブメントはセリタのSW510で、裏蓋側から駆動する様子を見ることができる。

ストラップはボア(イノシシ)革を使用した耐久性に優れるヌバックレザー製で、グレーとサンドカラーの2本が付属し、ジンオリジナルの工具とともにスペシャルボックスに格納される。価格は税込72万6000円で、2023年秋ごろの発売を予定している。

ファースト・インプレッション
356 フリーガーといえば、12時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計を備えた縦3つ目のサブダイヤルが印象的だ。さらに3時位置にはブランドロゴとデイデイト表示が配され、直径38.5mmのなかにさまざまな要素がギュッと凝縮したような顔立ちは、これまでダイヤルの仕上げに変更がありこそすれ大きく手が入ることはなかった。しかし、ジンのインストゥルメント ウォッチを代表するモデルの25周年にあたり、ブランドは新たなデザインとしてバイコンパックスを選択した。初めてリリースに目を通したとき、356 フリーガーを愛用するひとりであるがゆえに、何度か型番が正しいかを確認したりもした。

過去にも、ジンはバイコンパックスのクロノグラフを手掛けている。ソリッドベゼルに60分積算計を備えた936や、分厚いブラックベゼルが特徴的な158などだ。その事実だけを見れば、すでに安定した人気を獲得している356 フリーガーの名前で定評のあるデザインを乗せただけのようにも思える。だが、356 フリーガー・クラシックJUBと、936、158を見比べると目指す方向性が大きく異なることがわかる。936、158のケース径はともに43mmで、時分針は視認性を重視したソード針とバトン針。クロノグラフ針と3時位置の積算計にはパッと目に入る赤を使用し、とにかく(ジンらしく)プロツールとしてのパイロットクロノグラフを追求しているように見える。一方、今回の新作は柔和な色合いのアンスラサイトに馴染みよいシルバーのサブダイヤルを採用しており、強い主張はなく上品だ。ケースは前述のとおり従来の356 フリーガーを踏襲しており、どちらかというとクラシカルでノスタルジーを感じさせる見た目になっている。

少し話を戻すが、1996年にリリースされた356 フリーガーの日本限定モデルがあれほど受け入れられたのはなぜなのだろう。そこにあったのはパイロットウォッチとしての実用性を求める声ではなく、クラシカルで象徴的なフリーガーデザインをデイリーにつけたいという欲求ではないだろうか(実際、僕もそうだ)。正直、あの凝縮感のあるダイヤルは、メガネなしでは読み取りにくいこともある。ジンのメンズモデルで356 フリーガーと並ぶ小径モデルは3針の556や一部のクラシックシリーズぐらいで、そこにはブランドの視認性に対する強迫観念に近いプライドがあるようにも思える。つまるところ、356 フリーガーが担う役割は別のところにあるのではないか、ということだ。

ゆえに、既存のバイコンパックスデザインを取り入れながらも、356 フリーガー・クラシックJUBはまったく新しい狙いを持ったモデルであると考える。モデル名とダイヤル上の“KLASSIK”は、このモデルがノスタルジーと文字通りクラシカルさを強調したクラシックシリーズに属することを示すものである。356 フリーガーという懐古的なデザインを落とし込みやすいプラットフォームで新たな試みを行うにあたって、ジンは1940年代ごろのレトロな空気をバイコンパックスで取り入れつつ、初代356登場時に人々が感じたエレガンスを再表現したかったのではないかと思うのだ。

散々既存の356 フリーガーへの執着も書いてきたが、意表をつかれただけで僕自身はこのデザインが大好きだ。ラグ幅も20mmなので、手持ちの356 フリーガーのメタルブレスと付け替えた際にどのような顔になるか、大いに興味がある。NATOストラップとの相性もきっといいだろう。なお余談だが、356 フリーガー・クラシックJUBと同タイミングで、バイコンパックスでアンスラサイトからブラックへのグラデーションを配した356フリーガー・クラシック AS.Eと、白文字盤にブラックのサブダイヤル(パンダだ!)を備えた356 フリーガー・クラシックWを発表している。どれもジンらしいカラートーンで、ジンのインストゥルメント ウォッチファンには刺さるものだろうと思う。

なので、38.5mm径でバイコンパックスを表現したことで、手首の上でどう見えるのか。既存の356 フリーガーと並んだ際の印象の違いはどうか。既存の356 フリーガーから30万円ほど価格が上がる理由はどこにあるのか。そもそもなぜ、356の新たな表現としてバイコンパックスを採用したのか……。いちジンファンとして、そのあたりについては実機を手にしつつ今後お伝えできればと思う。

基本情報
ブランド: ジン(Sinn)
モデル名: 356 フリーガー・クラシック JUB(356.FLIEGER.KLASSIK.JUB)

直径: 38.5mm
厚さ: 15mm
ラグ幅: 20mm
ケース素材: サンドマット仕上げのステンレススティール
文字盤色: アンスラサイト
インデックス: プリントのアラビア数字、アプライドのブランドロゴ
夜光: インデックスと針に夜光塗料
防水性能: 10気圧防水(DIN8310準拠)
ストラップ/ブレスレット: ヌバック・ボアレザー製ストラップ(グレーとサンドカラーの2色が付属)

時計本体、替えストラップ、予備のバネ棒にバンド交換用工具が収められた特別仕様のボックス。

ムーブメント情報
キャリバー: SW510
機能: 時・分・スモールセコンド、クロノグラフ(30分積算計)
パワーリザーブ: 約56時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
耐磁性能: 4800A/m(DIN8309準拠)
石数: 27
クロノメーター: なし

価格 & 発売時期
価格: 72万6000円(税込)

オーデマ ピゲ ロイヤル オークにガラスベゼルとゴールドブリッジを採用し。

オーデマ ピゲは、“ジャンボ”によってそのデザインを困難な場所へと追い詰めてしまうかもしれないが、その代わりに、アイコンを基に新しいことをする方法を探し続けている。

ロイヤル オークに飽き飽きしているのはわかる。ただ時計がユビキタスな存在として広く普及しているにもかかわらず、これがもどかしくも触れることのできない地位を維持しているのには、さまざまな理由がある。私のようにすべてのロイヤル オークの母、“ジャンボ” エクストラシンに目をつけているなら、なおさらもどかしい気持ちだろう。オーデマ ピゲが毎年欠かさず発表している、数多くのバリエーションに寄せられるコメントを見ると、正直言って笑ってしまう。“ほかにロイヤル オークにうんざりしている人はいないか?”。そう感じたのはあなたが初めてではないし、ましてやそれについてコメントしたのもあなたが初めてではない。しかし、ロイヤル オークのすべてのリリースをすぐに否定することは、その過程でかなりクールなものを見逃していることが多い。

16204BA
これはかなりクールだろう?

 信じて欲しいのだが、私も昔はあなたと同じだった。確かに、心の底に嫉妬心もあったかもしれないが、それ以上に当時騒がれていたような“単純さ”に抵抗したかったのだ。もてはやされなくとも、誰にとっても意味のあるデザインではない。評価が両極端に分かれる時計だ。しかし、ジェンタがデザインしたスポーツウォッチの典型的なモデル(ジャンボや、パテックから発売された“ジュネーブジャンボ”など)が、世界で最も快適かつエレガントに着用できるスポーツウォッチのひとつであることは、私にとって否定できない事実だ。

15202BC
15202BCが、最も人気のある2針のモダンジャンボのひとつになったのには、シンプルな理由がある。それはつけ心地がよく、文字盤が美しいからである。Photo: James Stacey

 どちらの時計も相対的に薄いため、その薄さとバランスが、私を高級時計製造最大の特徴のひとつであるという考えへと転換させた(繰り返しになるがロイヤル オークの39mm×8.1mmというジャンボサイズについて伝えておく。それ以外のサイズの2針モデルはほぼ認めない)。しかしそのデザインを“理解”するためには、残酷なまでに美しいジュウ渓谷の風景へと目をやる必要があった。また非常に象徴的な時計なため、理論的には人々が知っていることや愛していることから逸脱することなく改良を加えることは比較的難しいはずである。それなのに、なぜかオーデマ ピゲはそれを可能にするから、私は何度もファンになってしまうのだ。

 ロイヤル オークの誕生50周年から1年が経過した。1週間ほど前のオーデマ ピゲのリリースでは、39mm×8.1mmというバランスの取れたパッケージに手を加えず何ができるか、ふたつの例が示されていた。新しい“ジャンボ” エクストラシンはそれぞれ印象的だったが、シェイプやサイズをアイコニックにすることにこだわると、どんなことができるかを示す例でもあった。そのパッケージとそこに収められたラインナップを、どのように反復するのだろうか?

16202XT
 写真を見ると、サテン仕上げとポリッシュ仕上げされたチタンケースの新作の16202XTは、最近の記憶で最も気に入らないダイヤルを持つジャンボ ロイヤル オークのひとつだった。このように記憶に残る、よく知られたデザインであれば、ダイヤルは本当に明暗を分けることがある(15202BCと16202BCは、典型的な文字盤デザインの完璧な例だ)。16202XTにはスモークバーガンディダイヤル、サンバースト仕上げ、そして18Kピンクゴールドの時・分針とインデックスが施されている。文字盤をこれほどまでに派手にやってしまうのは、ロイヤル オークの最も優れた部分のひとつを損なう行為であると同時に、ケースそのものが際立ったデザイン要素であるべきだと確信させた。

 矛盾するふたつのことを同時に両立させている。問題は、それが気に入るかどうかだ。

16202XT
ADVERTISEMENT

 実際に見てみると、16202XTの印象的な赤いダイヤル(のディテール)に気づく。手に取ったあとも私のお気にいりには入らなかったが、ラインナップにバリエーションが加わったことは確かで、近年私が覚えているよりも多くの変化を加えようと努力しているように見える。柔らかい光の下だとサンバーストはそれほど目立たなかったが(ポータブルライトボックス下のマクロ写真ではほとんど消えていることにお気づきだろう)、特定の角度によっては飛び出しているかのように見える。細かいことを言えば、赤いカレンダーホイールは、“オンブレ”効果がちょうどブラックフェードし始める場所にあるため、カラーマッチはうまく機能していない。

16202XT
 しかし、文字盤から気をそらすとすぐにカッコいいベゼルとブレスレットに目が行く。どちらも、ほかのAPのコアモデルでは見られないレベルのポリッシュ仕上げが施されている。というのもその2カ所と裏蓋の周辺、およびポリッシュ&サテン仕上げのBMG(バルク メタリック ガラス)ケースバックとフレームに使用されている素材が、ガラスでできているからだ。

16202XT
 つまりバルク メタリック ガラスが採用されている。オーデマ ピゲはパラジウムベースのバルク メタリック ガラスを2021年のOnly Watch、15202XTで初めて使用したが、BMG自体は1960年代から存在しており、マイクロエレクトロニクスやゴルフなどで使用されてきた。新しい16202XTにも同じ合金が使われているのだ(裏蓋の“Titane”の刻印の下にPd500というホールマークがある。これが証だ)。しかし確かに、これはちんぷんかんぷん(mumbo-jumbo – ダジャレを意図したものではない)だ。では、何を意味するのか?

16202XT caseback
16202XT bracelet
 金属を冷却すると結晶が形成され、状況によってはメテオライトで見られるような驚くべきパターンが現れる。金属は冷却速度が速いほど結晶が小さくなり、密度が高くなる。十分に冷却すれば、結晶はまったく形成されない。その代わり、結晶性のないアモルファス内部構造(原子や分子が不規則に密集した状態)が得られるが、それは定義上、実際にはガラスであり、信じられないほどの硬度と輝きを持つガラスとなるのだ。

16202XT
 これのメリットはずばり、ロイヤル オークの主要な問題のひとつであるベゼルの傷つきやすさを、硬度が打ち消してくれるということだ。もちろん、どんな時計でも最初についてしまった傷は目も当てられなくなる。特にRO(ロイヤル オーク)のベゼルは非常に洗練されているため、どんな傷も本質的に大きな傷跡となり、見ずにはいられなくなる。まあ、どうやらほかの16202(同じCal.7121を搭載)に比べればかなり高価ではあるものの、新素材の採用により問題は回避しやすくなったようだ。価格は9万6400ドル(日本円で約1425万円)もするが、傷が付きにくい“ジャンボ”を安心して手に入れることができる。ただでさえ手に入らないスティール製の16202よりも入手は困難だろう。

16204BA
ADVERTISEMENT

 もうひとつ、18Kイエローゴールドの新しい“ジャンボ” エクストラシン(16204BA)は、昨年のSSとローズゴールドの発表に続くポスト50周年のラインナップに、もう1型のオープンワークモデルとして加わった。10万3000ドル(日本円で約1525万円)というこの価格は、新しい貴金属製のオプションと16202XTとの差はそれほど大きくないが、それでも、税込で434万5000円という“ベーシック”なSS製の16202とは次元が異なる。こちらの場合はハイテクな科学素材の代わりに、スケルトナイズされたマスタークラスを手に入れることができるのだ。

 ケースはジャンボを非常にウェアラブルにしたものと同様、39mm×8.1mmで展開。ただ昨年発表されたPG製オープンワークダイヤルの16204ORでは、文字盤の隙間部分にコントラストをつけるべくブラックサテンのブリッジの格子を使用していたが、新しい16204BAでは、ブリッジの全面にゴールドを採用している(後方から見える部分を除く)。これらのゴールドは、ヴィンテージ時代への回帰を感じさせてくれる。

16204BA
16204BA
 16204BAの内部には超薄型の自動巻きCal.7124が収められている。これは今まで見てきた16202XTや、ほかの16202に搭載されたCal.7121ムーブメントと並行して設計されたものだ。1967年からジャンボに搭載されていた2121/20ムーブメントが終焉を迎えたあと、確かにアップグレードの時期が来ていた。約55時間のパワーリザーブを備えた2121は、ブランドが今後55年間使用することを選択した場合、確実に信頼性の高い改良であることが証明されるだろう。7121の仕上げは素晴らしく、オリジナルの16202STは特によかったが、Cal.7124のオープンワークは最高だ。

16204BA
 ブリッジの配置は考え抜かれているようで、素晴らしい円の構造をとおして、ムーブメントの機能部分を強調している。ローターからは“50th”(フォントがNASCARレースのブランディングを連想させていた)が消え、この時計はより洗練されたものになった。