同ブランドにセリタベースのSW330-2ムーブメントが初めて導入された。それ以来、アーカイブに追加されたGMTは少数ながらもいくつかのモデルが登場している。たとえば、ETAムーブメントを搭載したチタン製のGMTや、カナダのメンズウェアリテーラーであるヘンリー・シンガーとのコラボレーションによるモデロ クワトロ、そしてもちろんフォージドカーボンケースを使用した第2弾HODINKEEエディションなどがある。これらエディションの価格は概ね1500ドル(日本円で約20万円)台以上で推移しており、フォージドカーボンケースモデルでは3000ドル(日本円で約45万円)に達するものもあった。
今年、ウニマティックは1000ドル(日本円で約15万円)以下の価格帯を強化することに注力している。7月にはクラシックシリーズと並ぶエバーグリーン製品として、4つのクォーツ“ツールウォッチ”シリーズを非限定版として発表した。その流れを受けて、先週ウニマティックは新たにふたつのモデル、モデロ ウノ GMTとモデロ クアトロ GMTをリリースした。これらは初となる日本製GMTムーブメントを搭載することで価格を大幅に引き下げたものだ。
デザイン面において、U1-GMTとU4-GMTはそれぞれモデロ ウノおよびモデロ クアトロファミリーのほかのモデルと同様の特徴を備えている。どちらもウニマティックの象徴である幅の広い40mmケース、22mmのラグ幅、両面ドーム型サファイアクリスタル、ドリルドラグ、そして300mの防水性能を備えている。今回、ウニマティックはモデロ サンクで初めて採用されたクイックリリース付きのTPUラバーストラップを改良し、新たに採用した。個人的には以前のウニマティックのラバーストラップもとても気に入っていたが、多くの人がもっと柔らかく、テーパードしたデザインを望んでいた。その希望を反映したのが今回の新バージョンである。もう少しだけ厚みが増せば、重厚感のあるケースとよりマッチするのではないかとも感じたが、それでも元のストラップに比べて明らかに快適さが向上している。
正面から見ると、モデロ ウノとモデロ クアトロ GMTのモノクロデザインが、2021年に見られたトーンを反映していることは明らかだ。ダイヤルはマットブラックで、インデックスにはスーパールミノバが塗布されており、6時位置には日付窓が設けられている。針のデザインはブランドが“ファントムラダー”と呼ぶスタイルで、先端の大部分が白く塗装されている秒針は逆ロリポップ針となっている。
これまでのいくつかのモデル同様、この2種類の時計で私が最も気に入っているディテールはくり抜かれたGMT針だ。先端にはスーパールミノバがコーティングされており、今ではこのデザインをウニマティックの象徴的な要素と捉えている。大きめのGMT針との相性もとてもいい。とくに誇張された針のデザインが気に入っており、明るく対照的な夜光コーティングが施された部分が際立つ。また中央がくり抜かれていることで、ダイヤルが常に遮られないようになっている点も素晴らしい。
モデロ ウノ GMTには120クリックの逆回転防止ベゼル(24時間表示付き)を搭載。ウニマティックのGMTベゼルも、一般的なGMTのように1時間ごとにクリックする仕様に変わればいいという声が以前から多くあり、私もその意見に賛成だ。そうすることでGMT機能がさらに実用的に感じられるだろう。ベゼルインサートはマットブラックであり、このモデルではベゼルの時刻表示に新しいフォントが採用されていると思われる。以前のGMTベゼルと比べるとこのフォントは少し力強く、やや横に広がった印象があり、全体的にほんの少し未来的なデザインを与えているようだ。
モデロ クアトロ GMTでは、ウニマティックにとって初めて固定ベゼルにマークを施したモデルである。このマークはエングレービングではなく、酸を使ったエッチングによって施されている。酸を用いたこの手法は、金属に物理的な工具を使用するのではなく酸性の溶液を使ってデザインを刻む技法である。U4-GMTのベゼルで見られるように、酸エッチングの主な利点のひとつは、溝に機械加工の跡が残らず、よりシャープでクリーンな仕上がりになる点だ。
ふたつの時計を裏返すと、裏蓋にはモデル名、各300本限定のシリアルナンバー、そして外出先でもベゼルの使い方を確認できるタイムゾーンスケールが刻まれている。
もちろん、今回注目すべき点は日本製のGMTムーブメントを搭載したことだ。これによってウニマティックはこのふたつのモデルの価格を大幅に引き下げることができた。ケース内部に搭載されているのはセイコーの自動巻きムーブメントNH34Aで、振動数は2万1600振動/時、そしてブランドのほかのGMTモデル同様に“コーラー”GMT機能を備えている。“コーラー”GMTとはローカルタイム用の時針を単独で調整できるのではなく、リューズを引き出したあとにGMT針を単独で調整できる機能を指す。ムーブメントの精度は日差-20秒から+40秒と、きわめてセイコーNHらしいスペックだが、この価格帯では十分許容範囲だろう。個人的にはセイコーNHのムーブメントを搭載した時計は体感いい結果が出ているが、精度は個体差があるだろう。
装着感はまさにウニマティックらしいものだ。ウニマティックのように厳格なデザインシステムを持つブランドの予期せぬ利点のひとつは、ひとつのモデロ クアトロを装着すればほかの同モデルもほぼ同じ装着感だと分かるため、純粋にデザインに集中できることだ。結局のところ、これらは大振りな時計なのである。私は多くのモデロ ウノとモデロ クアトロを所有していて、少し大き目の時計として楽しんでいる。しかし日本製ムーブメントを搭載したウニマティック全般に言えることだが、その厚さは確かに目立つ。スペック上では、モデロ ウノはモデロ クアトロよりも薄く、U1が12.9mmで、U4が13.7mmだ。しかし私の細い手首ではU4の固定ベゼルデザインのほうが装着感が高く、視覚的にもコンパクトに感じられる。
もしどちらかを選べと言われたら、私の心はモデロ クアトロ GMTに傾くだろう。固定されたサテン仕上げのベゼルが新鮮さを感じさせ、スティールケースとの調和はこれまでに見たことのない魅力を引き出している。モデロ ウノが675ユーロ(日本円で約11万円)、モデロ クアトロが600ユーロ(日本円で約9万5000円)という価格設定は、同じくセイコーNHムーブメントを搭載するウニマティックの“クラシック”シリーズのすぐ上に位置している。これらふたつの時計はこの価格帯において、より興味深い機能を顧客に提供するモデルなのだ。
我々はヒューストンのNASA本部を訪れ、宇宙飛行士のジム・ラヴェル氏と話す機会を得た。そこで彼はスピードマスターが果たした決定的な役割について証言をしてくれた。
オメガのスピードマスター プロフェッショナルが“ムーンウォッチ”として公式に認知されていることは、時計愛好家のあいだだけでなく、オメガ自身によっても広く知られ、称賛されている。数多くあるブランドと組織のパートナーシップのなかでも、オメガとNASAの関係は特に意義深く、実際に具体的な成果をもたらしてきた。スピードマスターは有人月面探査のすべてのミッションで使用されただけでなく、20世紀最大のドラマのひとつにも貢献している。アポロ13号のミッション中、発射から2日後に酸素タンクの爆発が起こった際、同ミッションの乗組員が無事地球へ帰還するために、この時計が重要な役割を果たしたのだ。こうした関係をより個人的な視点から理解するため、オメガは我々をヒューストンのNASA本部へと派遣し、ジェミニ7号、12号、アポロ8号、13号に乗ったジム・ラヴェル(Jim Lovell)氏とジェミニ6A号、9A号、アポロ10号、ASTPに乗ったトム・スタッフォード(Tom Stafford)の両宇宙飛行士に取材する機会を提供してくれた。ラヴェル氏からは彼の英雄的な行動と、アポロ13号の帰還においてスピードマスターが果たした決定的な役割について直接証言を聞くことができた。
「ヒューストン、問題発生だ」。このセリフは映画『アポロ13(原題:Apollo 13)』でトム・ハンクス(Tom Hanks)氏が演じたシーンで耳にしたことがある人も多いだろう。この有名な言葉は1970年4月14日、ジム・ラヴェル宇宙飛行士が月面まで4分の3以上の道のりに到達した地点で実際に発したものである。乗組員であるラヴェル氏、ジャック・スワイガート(Jack Swigert)氏、フレッド・ヘイズ(Fred Haise)氏らは、フラ・マウロ高地の探査を予定していた。ここで興味深い事実がある。ラヴェル氏が実際に発したのは「ヒューストン、問題発生だ」」ではなく「ヒューストン、問題が起きていた(Houston, we’ve had a problem.)」であった。酸素タンクの爆発により月面着陸は断念され、乗組員たちは月の周回軌道を経由して地球へ戻ることになった。ただし、地球への帰還は限られた電力(省電力モード)で行うことを余儀なくされた。再突入までのあいだ、月着陸船の生命維持装置と通信システムを維持するため、月着陸船の電力は最低レベルまで落とされた。このような状況下では、スピードマスターのような機械式デバイスが帰還を助ける重要な役割を果たすことになった。
1965年3月以降、オメガ スピードマスターは“NASAによるすべての有人宇宙ミッションの飛行認定”を受けている。この時計は有人月面探査の6回すべてで使用され、初めて月面に登場したのはアポロ11号のミッションであった。スワイガート氏が身につけていたとされるロレックス GMTマスターについてはあくまで憶測に過ぎないが、アポロ13号のミッションにおいてスピードマスターが重要な役割を果たしたことは間違いなさそうだ。NASAがクロノグラフの必要性を明確に指示していた点はさておき、ジム・ラヴェル氏の証言によれば帰還時の重要な操作のタイミングを計るうえで活躍したのはオメガであったことが確認されている。
生命維持装置と通信システムを維持するため、月着陸船はほぼ完全にパワーダウンした。しかし地球への帰還途中、正確に軌道を調整するべく2度の中間軌道修正が求められた。最後の制御燃焼では、エンジンを14秒間噴射し、その間クルーがカプセルの進行方向を正確に保つ必要があった。通常は自動制御で行う操作だが、この時は手動での対応が不可欠だったため、ラヴェルは“ガンサイト”を使い、十字線を地球の昼夜の境界線(ターミネーターライン)に合わせながら軌道を調整した。
「そう、あれが最後の燃焼だったんだ…やらなければいけなかったのは、正しい軌道に戻して安全に帰還することだった。まだ少し軌道がずれていたからね。指令船は完全に機能を失っていたから、生命維持のために月着陸船を救命ボートとして使った。そして軌道修正には月着陸船の着陸エンジンを使ったんだ。そのときに使ったのがオメガの時計で、月着陸船のエンジンを14秒間燃焼させるためのタイミングを計るために使用した。そのおかげで正しい軌道に戻して無事に着陸することができたんだ」
– ジム・ラヴェル(Jim Lovell)
もし最後の制御燃焼が行われなければ、LM(月着陸船)は地球の大気圏を弾かれ、乗組員ごと宇宙空間に漂い続けていた可能性があった。このミッションでの貢献を評価され、スピードマスターはシルバー・スヌーピー賞を受賞した。この賞は人類の飛行安全やミッション成功に関連する顕著な成果を挙げた、NASAの職員や協力企業に贈られる栄誉である。オメガはこの受賞を記念して、特別版の時計を2回製作しており、2回目のモデルは今年(2015年)のバーゼルで初公開された。
ヒューストン滞在中、我々はNASAの施設を見学する機会にも恵まれた。アポロ13号ミッションにてフライトディレクターを務めたジーン・クランツ(Gene Kranz)氏とサポートチームが拠点とした、ミッションコントロールルームにも訪れることができたのだ。さらに新しい月面探査車のデザイン、訓練中の宇宙飛行士、そして人類を初めて火星へ運ぶ予定のオリオン・カプセルも見ることができた。ミッションコントロールタワーの下には、22のミッションごとに異なるパッチが付いたスピードマスターのコレクションが展示されている。1997年には、これら22本の時計(さらに1957年モデルを再現したものを加えた計23本)をセットにした特別なケースが、スピードマスターの50周年を記念して販売された。だがわずか50セットしか製作されなかったため、市場に出回ることはほとんどない。もし市場に流通したとしても、価格は8桁を優に超える高額で取引されるだろう。
滞在の締めくくりには、(ジェミニ9A号、アポロ10号、17号のクルーである)ユージン・サーナン(Gene Cernan)氏を含む宇宙飛行士たちとのディナーがあり、さらに俳優ジョージ・クルーニー(George Clooney)氏も短時間ながら顔を見せてくれた。今回の訪問で得た収穫は? スピードマスターがアメリカの宇宙計画の歴史において確固たる地位を占めているということだ。現行のスピードマスターについての詳細はオメガの公式ウェブサイトで確認でき、アポロ13号のミッションに関する情報はここからさらに深く知ることができる。
ゼニスは、他に類を見ないブランドとして過去・現在・未来を見事に融合することができます。この「ゼニス クロノマスター オリジナル トリプルカレンダー リミテッドエディション フォー Hodinkee」は、エル・プリメロの遺産とクロノマスター オリジナルの驚異的な精度を讃えています。
現代的で実用性を備えたクロノグラフ
この時計は、エル・プリメロのオリジナルデザインが持つ力強さと多用途性を見事に引き継ぎつつ、モダンで精巧に仕上げられた実用的なクロノグラフを実現。直径38mm、厚さ14mmのステンレススティールケースに、ヴィンテージのエル・プリメロ(例えばA386)に使用されていたアクリル風防を思わせるサファイア製の風防が組み合わされています。
この時計の最大の特徴のひとつは、トリプルカレンダー機能を搭載しながらも、洗練された外観を維持している点。これは、曜日と月表示をクロノグラフのサブダイヤル上部に巧みに配置し、4時30分位置にはダイヤルと色調を合わせた日付表示を収めることで実現されています。
現在のコレクションに見られるブルーディスクとゴールドプレートのインデックスとは異なり、このモデルは特別に製作されたブラックムーンフェイズディスクとロジウムプレートのインデックスを採用し、モノクロのカラースキームを維持しています。また、通常はゴールドプレートのクロノグラフ針も、このモデルではホワイトに変更されており、クラシックなデザインの中で現代的なひねりを加えています。
トリプルカレンダー
トリプルカレンダーとムーンフェイズの複雑機構の追加により、このクロノマスター オリジナルは、ゼニスとのコラボレーションの中でも最も魅力に溢れたモデルとなりました。
ムーブメント
まず、この時計はトリプルカレンダー、またの名をコンプリートカレンダーと呼ばれる機構を搭載。このトリプルカレンダーは、シンプルなフルカレンダームーブメントにムーンフェイズ機能が追加されています。どの瞬間でも、曜日、日付、月、そして現在の月齢を簡単に確認ができ、必要であればクロノグラフの秒針が10秒ごとに文字盤を一周、つまり1分間に6回転することで、ゼニスの象徴である10分の1秒クロノグラフを体感できます。これほどの機能を備えながらも、このムーブメントのパワーリザーブは60時間と非常に優秀です。
裏蓋からクリアに視認できるこのムーブメントの最大の進化はその内部に。2024年初頭に発表されたゼニスの新しいエル・プリメロ キャリバー3610は、既存のエル・プリメロ3600に強化されたカレンダームーブメントを追加したものです。オリジナルのエル・プリメロと同様ハイビートとクロノグラフのコラムホイール設計を維持しながらも、現代の技術的な改良が施され、滑らかな動作と高い信頼性を実現しています。
コンプリートカレンダー
文字盤の裏側には、曜日、日付、月を表示するディスクと、ムーンフェイズディスクを配置。
エル・プリメロ キャリバー3610
ゼニスの堅牢なムーブメントは、コンプリートカレンダー機能を追加しつつ、エル・プリメロ特有の10分の1秒クロノグラフの動作を担保。
スペック
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メテオライト
ゼニスは、素材をテストする際に、過去――そう、遥か昔――に目を向けました。本機の3つのサブダイヤルには、スライスされたギベオン隕石が使用されています。この隕石は、約4.5億年前に火星と木星の間に位置する小惑星の溶融した核内で形成され、およそ3万年前に地球の大気圏に突入し、現在のナミビアに破片が降り注いだと考えられています。
ゼニスは、長年のパートナーである文字盤サプライヤーと協力して、この特別なダイヤルを調達・製作しています。スライスされた隕石の破片はその後CNC旋盤で精密にカットされて形を整えられます。各ピースは手作業で磨き上げられ、真鍮製のベースダイヤルと均一に仕上げられた後、インデックスやペイントが施されます。
ご想像通り、隕石は扱いが難しい素材。6時位置のサブダイヤルにはムーンフェイズの開口部があり、この部分は特に破損しやすいのです。製造過程での不良率は約20〜30%に達し、この複雑な素材から3つの完璧で小さなサブダイヤルを作り上げるために必要な技術と手仕上げの技量が垣間見えます。
ウィッドマンシュテッテン構造
ギベオン隕石には「ウィッドマンシュテッテン構造」と呼ばれる結晶化パターンが見られ、隕石の断面には独特のラインが刻まれています。この特有のパターンは、太陽系が形成された当初、溶融状態から極めてゆっくりと冷却された惑星体にのみ見られるものです。これは、約45億年前に太陽系が生まれた起源と、そこに込められた長い時間の営みを想起させる証といえるでしょう。
それぞれのサブダイヤルは唯一無二
隕石のスライスには、それぞれ独自の結晶構造が宿っており、同じサブダイヤルも、同じ時計もふたつと存在しません。
このモデルは同ブランド初となるシェイプウォッチ(特定の形状を持つ時計)である。ムーブメントにはほかのモデルにも採用されているソプロード製M100を搭載し、際立ったデザインと魅力的な価格設定を重視している。新作の価格はほかのシンプルなタイムオンリーウォッチよりやや高めの1490ユーロ(日本円で約24万円)だが、それでもコレクションに加える価値のある魅力的なモデルだ。
Serica Reference 1174 “Parade”
“パレード”という名前は、アメリカで一般的に思い浮かべるパレード(フロートや巨大な七面鳥型バルーンのようなもの)から取られたわけではない。むしろファッションショー、軍事式典、あるいは愛の儀式のように、人々が自身の最良かつ独自の姿を披露する場のイメージに由来している。このステンレススティール製ケースは、横35mm、縦41mm、厚さ8.6mmで、“スタジアム型”と呼ばれる独特の形状を採用している(これはブランド独自の用語だ)。さらに同じ“スタジアム型”のピンバックルを付属し、統一感を持たせている。またRef.1174というリファレンスは、ケースの幅と長さの比率(1:1.74)から名付けられており、セリカがこのモデルのために選んだバランスの取れたプロポーションを示す。ケースの仕上げは、フラットなヘアライン加工と磨き上げられたエッジが巧みに組み合わされている。また、片側にはリューズガードとしてふたつの小さなフランジが設けられ、それが反対側とのバランスを生み出している。この価格帯としては非常に満足度の高い仕上がりだ。
Serica Reference 1174 “Parade”
文字盤は、サテンブラックとサンレイ仕上げの真鍮製の2種類を用意。ダイヤルにはS字カーブを描いたギヨシェ風装飾が施され、サンレイ仕上げが美しく映えるデザインだ。さらに球体のような立体的なインデックスが配されているのも特徴的だ。針にはミラーポリッシュ仕上げが施されたドーム型のソードハンドを採用。ストラップはラグのない仕様で、幅18mmから14mmにテーパーしたデザインとなっている。この時計には秒針がないためほかのモデルのようにCOSC認定を受けることはできないが、重要なのはそこではない。この時計は日常とは少し違う、特別な感覚を手首に加えたいときに選べる時計なのだ。現在セリカの公式ウェブサイトにて1490ユーロ(日本円で約24万円)で販売中だ。
我々の考え
好むと好まざるとにかかわらず、現在はシェイプウォッチのルネサンス期にある。アノマやトレダノ&チャン、ファーラン・マリ、そしてほかにも多くのブランドが、近ごろさまざまな形状の時計を発表している。そして日々時計を見ている私にとって、それは新鮮さを取り戻すひとつの清涼剤のように感じられる。ファーラン・マリのディスコ・ヴォランテ同様、このモデルも形状に関しては比較的控えめな印象を与えるが、それでもセリカにとっては大きな挑戦といえる。当初は少し懐疑的だった。というのもセリカといえば精巧につくり上げられたツールウォッチという美学が強く結びついていたからだ。ただ見れば見るほど、その魅力が心に染み渡るようになった。
Serica Reference 1174 “Parade”
セリカのフィールドクロノメーターをまず手に取るだろうという気持ちは変わらないものの、このモデルも楽しい選択肢であり、細部まで考え抜かれたデザインが光る1本だ。デザインはどこかパテック フィリップのエリプスをほうふつとさせる部分があり、ケースの側面にある“耳”のようなディテールにはノーチラスの雰囲気も感じられる。しかし、特にブラックダイヤルは写真で見る限り非常に魅力的だ。曲線的なサンレイ仕上げのギヨシェ風パターン(実際にはスタンプ加工によるもの)、ドーム型の針、そしてポリッシュ仕上げには、細部へのこだわりが見て取れる。セリカが引き続き価格以上の価値を提供していることがうかがえる。装着感もよさそうだが、実際に手に取って確認してみたいと思う。
Serica Reference 1174 “Parade”
基本情報
ブランド: セリカ(Serica)
モデル名: パレード(Parade)
型番: 1174
直径: 35mm×41mm
厚さ: 8.6mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: サテンブラックまたはサンレイ仕上げの真鍮製、S字カーブのギヨシェ風装飾とサンレイ仕上げ、鏡面仕上げのドーム型針
インデックス: 球体型
夜光: なし
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: グレイン加工のカーフレザーストラップ(幅18mmから14mmにテーパー)、SS製“スタジアム”型ピンバックル付属
音楽スタート。ライトをつけて。奇想天外なプロパイロットXをつけたミス・ピギー!
オリスは突如として大胆かつ鮮烈なグリーンの『マペット・ショー』とのコラボレーションモデル、オリス プロパイロットX カーミット エディションを発表した。その成功の鍵は、シンプルさを保ちながらも個性を際立たせたデザインにあった。このモデルではカーミット エディション専用の鮮やかなグリーンダイヤルが新たに導入された。そして最も特徴的なのは、月初めの日付窓に笑顔のカーミットがプリントされていることだ。月に一度だけカーミットウォッチなのだと思い出させる、絶妙なアクセントとなっている。ただし、もし私のようにこの時計を購入したならば、着用するたびに日付を1日に設定すればいつでもカーミットの笑顔を楽しむこともできる。
プロパイロットX カーミット エディションのリリース後(予想どおり、短期間ながらも熱狂的な人気を集めた)、次なる展開があるのかどうか多くの人が気になっていた。オリスは当然ながら、今後の計画について多くを語らず、私たちはただ待つしかなかった。そして1年が経ち、私はパートナーシップはもう終了したのだろうと考え始めていた。でもその予想は見事に裏切られた。ブライトリングスーパーコピーn級品 代引き新たに登場したプロパイロットX ミス・ピギー エディションは、シリーズ初となる34mmの小型ケースを採用している。またプロパイロットXシリーズとして初めてステンレススティールが採用され、従来のチタン製ケースからの大きな転換点ともなった。
この34mmのプロパイロットXは、ケースのシルエットこそ従来の大型モデルと同じだが、SSの採用によりベゼルやブレスレットの一部にポリッシュ仕上げが施された。その結果、完璧にインダストリアルな雰囲気のカーミット エディションとは異なり、より繊細で洗練された印象を与えるデザインとなった。また一目瞭然だが、ケース径34mm、ラグからラグまでの長さ41.5mm、ケース厚11mmという設計により、これまでとは異なる層のユーザーにも快適な装着感を提供してくれる。
プロパイロットX ミス・ピギー エディションのダイヤルには鮮やかなホットピンクが採用され、プロパイロットXシリーズとしては初となるアプライドインデックスが取り入れられた。マゼンタカラーの立体的なインデックスが配置され、12時位置にはミス・ピギーの華やかさに敬意を表するかのように、ラボグロウンダイヤモンドをあしらっている。ムーブメントには、このシリーズでは初めて自社製ではないCal.531(セリタベース)が採用された。またプロパイロットX カーミット エディションとは異なり、このモデルには日付窓が存在しない。ではミス・ピギーはどこにいるのか? それは時計を裏返せばわかる。ほぼソリッドなケースバックに小さなミネラルガラス製の窓が設けられ、そこからライラック色の背景に描かれたミス・ピギーの姿をプリントしたローターを見ることができる。ローターが回転するたびに、時折ミス・ピギーの姿がちらりと見えるという仕掛けだ。
プロパイロットX ミス・ピギー エディションは現在発売中で、価格は47万6300円(税込)だ。
我々の考え
私はジム・ヘンソン(Jim Henson)、『マペット・ショー』、そしてグリーンダイヤルの大ファンだ。だから最初のカーミットとのコラボレーションは、まさに自分のためにつくられたようなものだった。余談だが、もしニューヨークやジョージア州に行く機会があれば、アストリアのミュージアム・オブ・ムービング・イメージと、アトランタのセンター・フォー・パペットリー・アーツにある、ジム・ヘンソンの功績を称える常設展示を訪れて欲しい。私はどちらにも訪れたことがあるのだが、初期のウィルキンス・コーヒーの広告作品から『マペット・ショー』、さらには『ダーククリスタル(原題:The Dark Crystal)』のスケクシスまで、あらゆる作品を見ることができる。さらに、もしオーランドを訪れる機会があれば、今年閉館予定のマペット・ビジョン3Dもぜひ見て欲しい。これはジム・ヘンソンが亡くなる前に手がけた最後のプロジェクトである…と、話が脱線してしまった。
プロパイロットX ミス・ピギー エディションに話を戻そう。プロパイロットX カーミット エディションの登場後、HODINKEEのチームでは次にどのキャラクターが登場するのか、さまざまな予想が飛び交った。スウェーデン・シェフか? アニマルか? スタットラー&ウォルドーフか? それともエメット・オッターか?! そのなかでミス・ピギーが選ばれたのは、あの有名なしゃべるカエルとの関係性が最も自然だからだ。しかしオリスがこの選択によって、女性向け時計は小さくして、ピンクにして、ダイヤモンドを加えるものだという、スイス時計業界のステレオタイプを覆すことに成功したかどうかは議論の余地がある。ただ反論としてはこう言えるだろう。もしミス・ピギーをテーマにした時計をつくるなら、そのキャラクターの持つ華やかさや、きらびやかな衣装やアクセサリーへの愛情を最大限に表現することが正解だ。間違いなく、彼女自身がこの時計を身につける姿は想像できる。
コラボレーションという側面を抜きにしても、このモデルはオリスのラインナップにおいてきわめて興味深い存在だ。プロパイロットXシリーズとして初めて女性をターゲットにしたモデルであり、初めてSSを採用し、さらに初めて自社製ムーブメントではないキャリバーを搭載した。これらの要素は、従来のプロパイロットXの枠組みをさまざまな形で打ち破っており、オリスがこのシリーズにおいてさらなる可能性を探求する姿勢を持っていることを示しているように思える。
39mmのSS製プロパイロットXが登場する可能性はあるのだろうか? あるいは、オリスがアクイスラインのように、39mmのプロパイロットXをセリタ製ムーブメント搭載のより手ごろな価格帯で展開することはあるのだろうか? さらにこのミス・ピギー エディションのダイヤルは、私が所有するプロパイロットX カーミット エディション(およびそのほかのカラーバリエーション)に感じていた大きな不満点を解消している。つまり立体感の欠如だ。アプライドインデックスはコントラストと視認性を大幅に向上させている。ミス・ピギー エディションに採用された、ルビーを思わせるインデックスはこの問題を見事に解消していると思う(もう少しファセットが加えられていたらさらによかっただろう)。
ミス・ピギー エディションは、よりターゲットを絞った明確なデザインと、47万6300円(税込)という価格設定から見ても、オリジナルのカーミット エディションと比べてかなり市場を限定している(正直、私自身はそのターゲット層には含まれていないと思う)。だが、単にカーミット エディションのCal.400というプラットフォームに新たなカラーを追加するだけではなく、意図を持ったデザインとして仕上げた点は評価に値する。この時計は、オリスとディズニーのパートナーシップが今後も続くこと、そしてオリスがその最もオリジナリティあふれるプロダクトラインのひとつで、さらに新しいアプローチを模索していくことを予感させる。
基本情報
ブランド: オリス(Oris)
モデル名: プロパイロットX ミス・ピギー エディション(ProPilot X Miss Piggy Edition)
型番: 01 531 7796 4158-07 8 17 05LC
直径: 34mm
厚さ: 11mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ホットピンク
インデックス: アプライド
夜光: なし
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: LIFT(オリス独自のフォールディング)クラスプ付きSSブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: 531(セリタベース)
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 17.2mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時