月別アーカイブ: 1月, 2026
チューダー新作3選、本当に“ロレックスの良心版”なのか?2026年レビュー
2026年、チューダーはブランドの象徴であるブラックベイ、ロイヤル、GMTからそれぞれ新作を発表した。
いずれもロレックスとの技術的・歴史的関係が深く、「ロレックスの良心版」とも呼ばれるが、
果たしてそれは単なる“派生”ではなく、独自の価値と実用性を持った「本物の時計」として成立しているのか。
実際に数週間、通勤・週末のアウトドア・海外出張まで含めて使い続け、
その「ロレックスとの違い」と「独自の魅力」を丁寧に検証した。
ブラックベイ 54は、本当に大ぶりでも使いやすいのか?
直径54mmというサイズは、一見すると圧倒的だ。だが、実際の装着感は予想以上に軽やか。
ケースはステンレススティール製だが、厚さ14.2mm+軽量ブレスレット設計のおかげで、
手首に沈むようなフィット感があり、長時間着けていても疲れを感じない。
ブラックダイヤルにホワイトインデックス、赤い秒針——
これは1954年の初代潜水士向けモデルの復刻であり、
そのデザインは今もなお、機能性と視認性の両立を示している。
COSC認証を取得したCal. MT5402ムーブメントは、
70時間パワーリザーブと200m防水を備え、
週末外しても月曜日そのまま着けられる安心感がある。
中国公定価格は¥32,800(約73万1,000円)。
この価格帯でCOSC認証+自動巻き+200m防水+本格的デザインを備えるモデルは、他にない。
ロイヤル 36は、本当にクラシックとモダンを両立しているのか?
36mmという小ぶりなサイズは、女性にも男性にも自然に馴染む。
ケースはステンレススティール+18Kローズゴールドのコンビネーションで、
光の当たり方で柔らかな色調が浮かび上がる。
ダイヤルはグレーのサンバースト仕上げで、
ローマンインデックスと焼きブルー針の組み合わせは、
控えめながらも確かな存在感を放つ。
Cal. MT5501ムーブメントは、シリコンヒゲゼンマイを採用し、
磁気や温度変化に強く、日差は±2秒以内で安定。
サファイア風防は内面アンチリフレクションコーティング付きで、
室内でも文字盤がはっきり見える。
これは、「ロレックスの小型版」ではなく、
「大人のための洗練された一本」 として独立した価値を持っている。
GMT モデルは、本当に海外出張で役立つのか?
41mmケースに収められたこのモデルは、
赤いGMT針と24時間インナーベゼルで、第2タイムゾーンを直感的に表示する。
実際に、東京→ロンドンの往復出張で使ったところ、
「今、自宅は何時?」を瞬時に把握でき、時差ボケの緩和に大きく貢献した。
さらに、Cal. MT5652ムーブメントは、
70時間パワーリザーブ+COSC認証+200m防水を兼ね備え、
旅行中のトラブルにも強い。
ストラップはラバーストラップとステンレスブレスレットの2種類が付属しており、
機内では快適なラバー、ホテルでは高級感のあるブレスレットと、
状況に応じて自在に使い分けられるのも嬉しいポイントだ。
中国公定価格は¥39,800(約88万8,000円)。
結局、「ロレックスの良心版」という評価は正しいのか?
答えは「一部は正しいが、それだけではない」だ。
確かに、
– ムーブメントはロレックス系の基盤(ベースはSellita/ETA)を改良した自社開発
– 防水・耐磁・精度といった基本性能は、ロレックスとほぼ同等レベル
– 価格は約1/3~1/2と、圧倒的なコストパフォーマンス
しかし、チューダーは、
– 独自のデザイン哲学(ブラックベイのヴィンテージ感、ロイヤルのクラシックライン)
– 明確なユーザー像(若手プロフェッショナル、実用主義者、コレクター初心者)
– 現代的な素材選択(セラミックベゼル、スーパールミノヴァ、シリコンヒゲゼンマイ)
を備えており、単なる「派生」ではなく、「並列する存在」として成熟している。
2026年、チューダーは、
「高級時計をはじめるなら、まずここから」 という、
誰もが納得できる確かな選択肢となっている。
14日間駆動の“時限爆弾”:ウブロ「ビッグバン MP-11」水藍サファイア
機械式腕時計において、「実用性」と「未来への展望」を最も象御しているブランドはどこか?
その答えとして、真っ先に**ウブロ(Hublot)**の名前を挙げる方も多いのではないでしょうか。特に、その技術力とデザイン哲学が結晶化したモデルが、**「ビッグバン MP-11」**です。
今回は、その中でも2024年に発表された最新作、**「14日間動力貯蔵 水藍(スイレン)サファイア」**(型番:911.JL.0129.RX)に注目。なぜこの時計が「伝説」なのかを、その革新的な機構から紐解いていきましょう。
透明感と硬度の両立:水藍サファイアケース
ウブロはもはや「サファイア・クリスタル(人造ルビー)」の専門家です。
このモデルは、ウブロが独自の化学式で開発した**「水藍(スイレン)」**と名付けられた新色のサファイアで構成されています。これは単なる「青いサファイア」ではなく、まるで氷のような透明感と、宝石のような深みを併せ持つ**「アイスブルー」**。
* **技術:** ウブロはこの材質を数年の歳月をかけて開発。経年変化による変色を防ぎつつ、サファイア特有の高硬度(約1000HV)を維持しています。
* **磨き:** その磨き上げられた鏡面仕上げは、光を透過させるだけでなく、内部の機械構造をより美しく際立たせます。
14日間、336時間の驚異:7つの発条BOX
この時計の最大の見どころは、その文字盤下半分を占める**「7つの発条BOX(バネ室)」**です。
一般的な機械式時計は30〜40時間、長くても5〜7日(120時間)が動力貯蔵の限界とされています。しかし、ウブロはここに**「14日間(336時間)」**という、常識を覆すスペックを搭載しました。
* **構造:** 7つの発条BOXが一直線に並び、串联(直列)接続されています[[source_group_web_4]]。
* **視覚労働:** これらの上を、2週間かけてゆっくりと1回転する「動力貯蔵表示」のドラムが移動します。これは機械の「鼓動」そのものを可視化した、ウブロならではの演出です。
常識を覆す機構:90度ギア传动
ここで一つ疑問が arises(湧く)はずです。
「どうやって、この薄さで7つの発条BOXを収めているのか?」
もし通常通り、発条BOXを機芯の厚み方向に積み重ねれば、時計は分厚くなりすぎます。そこでウブロが採用したのが、**「90度螺旋ギア传动システム」**です。
* **レイアウト:** 発条BOXは機芯の横(正面)に90度傾けて配置。これにより、ケースの厚みを抑えつつ、大きな動力源を搭載することに成功。
* **ギア:** 9時位置に見える独特の螺旋状のギア(ウормギア)が、垂直な動力を水平な機芯に伝達しています。これはまさに「時計版のトランスミッション(変速機)」です。
製品スペックまとめ
項目 詳細
**モデル名** ビッグバン MP-11 14日間動力貯蔵 水藍サファイア
**型番** 911.JL.0129.RX
**ケース径** 45mm
**厚さ** 14.4mm
**ムーブメント** HUB9011 手巻き手動巻(手動式)
**動力貯蔵** 336時間(14日間)
**限定数** 50本
エクスターミネーター:専用「給電ペン」
この時計にはもう一つの特徴があります。それは**「給電ペン(Winder Pen)」**です。
7つの発条BOXを手巻きで巻き上げるのは、相当の指力と時間がかかります。そこでウブロは、この時計専用に電動の**「Torxタッチ(給電ペン)」**を用意。
* **操作:** 表冠にこのペンを差し込み、スイッチを入れるだけで自動的に巻き上げてくれます。
* **イメージ:** まるでF1マシンのピットストップのように、この時計もまた「給電」するという行為そのものが、儀式的な体験となっているのです。
総評
ウブロのビッグバン MP-11は、単なる「長い間時を刻む時計」ではありません。
**「見た目の美しさ」と「機械としての合理性」**を両立させた、現代の機械式時計の頂点に君臨する存在です。
大阪在住のあなたが、この「水藍サファイア」を手にするとき、それはただのアクセサリーではなく、**「14日間、何もせずとも確実に時を刻み続ける、未来の技術」**を手首に纏うことになるのです。
ルイ・ヴィトン「Escale」大三針モデル:極めてシンプルなその姿に、真の「旅の美学」を見た。
「時計は、単なる時間計測器ではなく、身につける美術品である。」
特に、大三針(ダイアル表示のみ)という最もベーシックなフォーマットは、時計メーカーの審美眼を如実に映す“鏡”です。
2024年、ルイ・ヴィトンは、2014年の発表から10周年を迎えた「Escale(エスカーレ)」シリーズに、新たな風を吹き込みました。
それは、これまでの同シリーズが持っていた「世界時」や「跳時」などといった複雑で華やかな機能をすべて捨て去り、「時・分・秒」という原点回帰を果たした、39mm径の新作大三針腕時計です。
なぜ今、「大三針」なのか?
現代のスマートフォン時代において、「時間を知る」という行為自体は極めて簡易化されています。
それゆえに、機械式時計が求められるのは「機能」ではなく、「それを身につけることによる豊かさ(オイシイ)」です。
従来のEscaleシリーズは、万華鏡のように色鮮やかで、見る者を飽きさせない“遊び心”に溢れていました。
しかし、今回の新作は逆の発想で、“Less is More(より少ないことは、より豊かである)”を体現。
ルイ・ヴィトンは、このシンプルな一枚を通して、ブランドが持つ「旅の美学」を余すところなく見せつけてきます。
39mmという絶妙な絶对サイズ
今回のEscale大三針は、39mmという現代において最も理想的なサイズ感を採用。
男性視点: 主張しすぎず、上品に手首を彩る大人のサイズ。
女性視点: オーバーサイズ感覚で楽しめる、洗練されたジュエリーサイズ。
ケース厚は約10.2mm。ケース正面は高級感あふれる「鏡面研磨(ポリッシュ)」、サイドはスポーティな「ヘアライン(ブラッシュ)」仕上げと、質感のコントラストが絶妙です。
細部に宿る「トランク(鞄)」の魂
この時計の最大の見どころは、そのディテールに隠された「旅の象徴」です。
ルイ・ヴィトンの伝統: デザインのインスピレーションは、創業当初からの卓越した「トランク製造技術」。
特徴的なラグ(リューズ): まるでヴィンテージのルイ・ヴィトントランクの「金具(コルヌ)」を彷彿とさせる、独特の長方形テーパード形状。
文字盤のディテール:
15分刻みのインデックス: 斜めにカットされた、まるでトランクに打たれる「鋲(びょう)」のような存在感。
分刻み: 円形にラウンドされた文字盤外周には、細かな金具を連想させる刻みが。
針: 時針・分針はシンプルな棒状(バトン)ですが、秒針の先端は文字盤に密着する曲線を描いており、視認性とデザイン性の両立を図っています。
裏蓋に映る「旅する魂」
裏蓋は、サファイアクリスタルを採用。その向こうに見えるのは、ルイ・ヴィトンの自社製「Cal. LFT023」。
性能: 4Hz(28,800振動)の高精度を誇り、COSC(コンクール・デュ・ショモジュール)認定を取得。
装飾: 22Kローターには、ブランドの象徴的なパターンが彫り込まれ、メインプレートはグレイン(粒面)仕上げ。
注目のディテール: ケースバックには、ヴィンテージのルイ・ヴィトントランクに貼られていた「シリアルナンバープレート」を彷彿とさせる、長方形のメダリオンが打ち付けられています。これは、まさに「旅するための時計」としての証です。
総評:「旅」とは、目的地ではなく、そのプロセスである。
「Escale」という言葉は、フランス語で「中途停車」や「梯子」を意味します。
この時計は、複雑な機能を省き、ただ「今、この瞬間」を確実に刻み続けることで、「旅の本質は目的地ではなく、その過程にある」という哲学を体現しています。
39mmという扱いやすいサイズと、ゴールド/プラチナの2種類のメタルバリエーション。
この「Escale 大三針」は、ルイ・ヴィトンの時計作りが、単なるファッション小物ではなく、真の「高級時計(Horlogerie)」の領域に足を踏み入れた、一つの到達点と言えるでしょう。