スウォッチは最新のムーンスウォッチ ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドを発表した。

世界中のスウォッチブティックで発売された。これは、私たちが “ムーンスウォッチ狂騒劇”と呼ぶ、1年以上にわたる熱狂の最新作である。しかし、現状の解説の前にこれまでの経緯を整理しておこう。

ムーンスウォッチ第1世代

ニューヨークで行われたムーンスウォッチコレクションの大々的な発表までの道程を追い、タイムズスクエアのブティックを取材し、このバイオセラミック製の時計を手に入れようと待ちわびる多くの人々の熱狂を目の当たりにした。

この時計は販売戦略上オンラインでは購入できないため、人々は待ち望み、そしてどれだけ収集できたか、その功績を称え合った。ムーンスウォッチをコンテンツとしてA Week on the Wristに取り上げ、小誌の2022年ウォッチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したことで、私はこのマニアックな時計に対する熱狂の章は閉じたと思った。だが、2023年(ダニエル・クレイグがミッション・トゥ・ネプチューンを着用したことが話題にもなった)、スウォッチは別の隠し球を持っていることを証明した。ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドである。

ムーンシャインゴールド

始まりは2023年2月、スウォッチが一部都市で特別リリースの予告をしたことだった。ロンドン、ミラノ、東京、チューリッヒである。そう、アメリカは含まれない(ニューヨークもだ)ということだった。幸運なことに、HODINKEE Japanの同僚たちが、世界で初めてこの新しいムーンシャインゴールドのムーンスウォッチを手にした人を撮影することに成功した。オメガ独自のゴールドコーティングを施した、クロノグラフ秒針を持ったモデルだ。

ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールド
ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドを最初に手にした人 Photo: Masaharu Wada(本誌)

熱狂もいよいよそれで終わりかと思った。しかしそれは間違いだった。ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドは、その後ニューヨークを含む世界各地で発表されたのだ。編集部のマーク・カウズラリッチ(Mark Kauzlarich)がその時計にカメラのレンズを向けたとき、それがまったく同じムーンスウォッチ ムーンシャインゴールドではないことがわかった。この年で3回目の満月を意味する小さな変化、クロノグラフ針に刻印された小さな数字の“3”が盛り込まれていたのだ。「ああ、そうか」、私たちは次のように解釈した。「これは、この日に購入できた人のための特別な時計なのだ」と。

ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールド
しかしそれでもまだ終わらなかった。5月に入り、我らがブランドン・メナンシオ(Brandon Menancio)はムーンシャイン第3弾の発売のためラスベガスに向かった。小さな数字で“4”と刻印されていると予想するも、それは安直すぎたようだ。その代わりにピンクムーン(野花が咲きはじめる4月の満月)へのオマージュとして、クロノ針にピンクのラメが施されていた。ムーンスウォッチの月次発表が2023年のテーマになることは、(その当時まだ決まっていなかったとしても)明らかだった。

ムーンスウォッチ
アメリカ・ラスベガスで発表されたピンクムーンのムーンスウォッチ。Photo: Brandon Menancio(本誌)

フラワー&ストロベリー
ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールド
ムーンスウォッチ フラワームーン

1カ月の時が流れ、同じクロノ針に、夜咲きする花々が満月の形に見えることにインスピレーションを得たイラストが描かれたモデルがリリースされた。そして先日、世界各地で発表された最新のリリースが、ムーンスウォッチ ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールド “ストロベリームーン”だ。そして、これはこれまででもっともクレイジーなバージョンかもしれない。

5月に発表されたものと同様、このモデルもストロベリームーン(イチゴの収穫時期である6月の満月)にインスパイアされたモデルだが、時計に表現する方法はより大胆だ。すなわち中央のクロノグラフ針全体にまるで壁紙のようにイチゴが並んでいるのだ。今年発表されたすべてのモデル同様、この時計は特定の月(この場合は6月のストロベリームーン)に製造され、その事実を証明する証明書が付属する。やれやれ、これはちょっとクレイジーな事件だ。しかしこの時計への注目と興奮を持続させる原動力となっているのも事実である。

ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールド
ムーンスウォッチ ストロベリームーン

ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールドのペーパー
ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールド
ムーンスウォッチについて尋ねてくる知り合いが、私の主な活動領域である時計業界外の人々も含め、どれだけ多いことか。ムーンスウォッチが大衆文化のトレンドに、しっかりと溶け込んでいる証拠でもあろう。最近、あるパーティで友人が、近くのスウォッチストアがムーンスウォッチの発売直前に閉店してしまい、ムーンスウォッチを探す旅に出られなくなったと嘆いていた。私がクルマを購入したとき、ファイナンス部門の担当者は、彼の兄弟がミッション・トゥ・ナントカ(特定の惑星)を探すのに夢中になっていたと話してくれた。ちなみにこの話題を切り出したのは私からではない。

スウォッチ、そしてオメガのいずれも自らムーンスウォッチコレクションに大幅な調整を加える必要はない。魔法のレシピは効き続けている。購入希望者は、それが唯一の方法であることをわかっているから、世界中のスウォッチショップに集まり続ける。2カ月前にもスウォッチスタッフが記録しているように、ローンチ当日にはいまだに多くの人が訪れている。

ムーンスウォッチ ムーンシャインゴールドの列
4月にニューヨークで行われたムーンシャインゴールドのローンチ当日の列。Photo: Mark Kauzlarich(本誌)

このミッション・トゥ・ムーンシャインゴールドのキャンペーンは、ムーンスウォッチと時計コレクションの理想を結びつける方法として私に衝撃を与えた。通常のモデルは入手が難しいかもしれないが(例えば、ネプチューンとか……)、決して限定されているわけではない。労力を惜しまなければ、すべてのモデルを購入することも可能だ。だが、ムーンシャインモデルは有限であり、1カ月のうちその日にしか手に入らない。その日が終わると、その時計はムーンダストの如く塵となり消えてしまう。

ムーンスウォッチ第一世代

新しいストロベリームーンモデルは、この時計がいかにクレイジーな熱狂を呼び起こすかを予感させる。私たちは今、クロノ針にイチゴが描かれている様子を目撃しているのだ。次は、ムーンシャインゴールドの仕様が1本の針だけに限定されることから脱却するのだろうか? しばらく様子を見る必要がありそうだ。今回のリリースでは、もっとも多くの都市と国(スウォッチ的に、基本的にすべての都市と国)が含まれている。まあ、どこでも買えたわけだ。この限定版を購入するためのプレミアムは、通常モデルのムーンスウォッチの価格(日本円で税込3万8500円)よりわずか4400円高いだけだ。

このムーンシャインキャンペーンが今年いっぱい続く保証はないが、少なくともあと数回はこのようなスペシャルローンチを目にすると予想している。そして最寄りのスウォッチブティックに足を運び、売り切れを続出させる人々の需要と興奮が試されることになるだろう。それが次の満月にまた繰り返されるのだ。

ここ数年、新しいムーブメントが次々と登場し、GMTウォッチの市場は急速に拡大している。

これらの新しいムーブメントのなかでも、少なくとも僕たちのあいだで頻繁に飛行機を利用する人にとって最も魅力的なのは、ローカルジャンピングGMT機能を備えた機械式自動巻きムーブメント Miyota 9075である。かつては高級機だったトラベルコンプリケーションを、信じられないほど手の届きやすい価格帯で実現した同ムーブメントを搭載した新しいロリエ(Lorier) ヒュドラ SIIIは、ミッドセンチュリー風のスタイルに競争力の高い信じがたい価格を実現した。

ロリエ ヒュドラ SIII
ニューヨークを拠点とする小さなブランドのロリエは、ロレンツォ(Lorenzo)とローレン・オルテガ(Lauren Ortega)の夫婦が運営している。またヒュドラ SIIIは、(バージョン的に)彼らの最初の腕時計とは程遠いものの、ブランドとして初めてMiyota 9075を使用し、ダイバーズGMTのフォーマットに沿って製造したものだ。これはベゼルが24時間のGMTベゼルではなく、経過時間を計測するダイバーズベゼルであり、200mの防水性を備えていることを意味する。3地点のタイムゾーンを必要としない場合や、むしろ経過時間ベゼルが便利だと思う人(僕もそうだ)なら、このスタイルはダイビングや旅行、その他あらゆるレジャーに最適な機能を提供してくれる。

時計自体のサイズは幅が41mm、厚さは14.6mm(そのうちケースが12.2mmで残りが風防)、ラグからラグまでの長さは46mmだ。クリスタルはヘサライト製(しかもドーム型)で、20mm幅のラグにはドリル加工を、さらに裏蓋は堅牢かつ衛生的で200m潜水用防水を確保している。

ロリエ ヒュドラ SIIIのサイド
ロリエ ヒュドラ SIIIの裏蓋
ロリエ ヒュドラ SIII
ヒュドラ SIIIは、アドミラルティグレーの文字盤と、2色の特殊夜光処理を施したヘサライト製ベゼルを装備した、単一のバージョンで展開する。驚愕の希望小売価格(このまま読み進めて)には、この写真に写っているソリッドなスティール製ブレスレットも含まれている。同ブレスレットにはクイックリリースや工具不要のマイクロアジャストシステムなどはないが、片側にネジが付いているためサイズ調整は簡単に行える。

ダークブルー、ホワイト、レッドの配色は、クールでミッドセンチュリーな美学が反映されている。これは現代のセリカで見られる方法と同じ、ヴィンテージオメガのデザインノートを引用したかのようだ。ヒュドラ SIIIはケースサイドにすっきりと収まるリューズに加えて、ベゼル、24時間目盛り、内側のダイヤルが一連の同心円状を形成。そのケースに見合うだけの適切なダイヤルを備え、スペックの数値から想像したとおりのつけ心地を提供する。

ロリエ ヒュドラ SIIIの夜光
コントラストが強く、鮮やかな赤色のGMT針、時刻表示を囲む24時間リングもはっきりしていて視認性は良好だ。また6時位置に日付表示を備え、文字盤、針といったほぼすべての白い要素に夜光処理を加えている。ロリエはセカンドタイムゾーンとその24時間目盛りにグリーンのC1、ダイバーズベゼルとローカルタイム表示にブルーのBGW9を使用した、2色の夜光をオプションで用意する。ベゼルのマークが細いため、夜光塗料を塗布するスペースはあまりないが、文字盤の処理は非常に明るく、特に24時間リングは長持ちしていた。

この文字盤のもうひとつの魅力は、ドーム型のヘサライトクリスタル越しに見える夜光である。クリスタルのエッジは角度がつけられたボックスカーブを描いており、文字盤の見え方が歪んだりするときがあった。最初は気が散ってしょうがなかったディテールだが、ヒュドラ SIIIを手首に装着して数日ともに過ごしてみると、サファイアクリスタルの時計のほうが好きだと思っていても、この変化が好きになった。

ロリエ ヒュドラ SIII
ヴィンテージウォッチの感触に近い雰囲気を提供するかどうかを目的としているため、ブランドにとってヘサライトクリスタルを選ぶのは意図的なものだ。ブランドはこのオプションを哲学的なものと考えており、公式ウェブサイトにクリスタルに関するページを設けているほどだ。

たしかに傷つきやすくはあるが、さっと磨いて傷を消すことができる(ヒュドラ SIIIにはポリウォッチのチューブと研磨用クロスが付属している)。ヘサライトのもうひとつの利点はサファイアと同程度の反射を起こさずに、ドームのすべてを味わえることだ。実際に手に取ってみると、クリスタルの外観はクリアで非常に素晴らしく、写真撮影のなかでも反射を最小限に抑えられた。

腕に装着すると、フラットリンクスタイルのSS製ブレスレットが、ラグ部分の20mmからクラスプ部分の15.8mmへとテーパーをつけていた。ケースのラグ位置には絶妙なカーブがあり、厚みの調整にひと役買っている。ヒュドラ SIIIはクリスタル付きだと15mm弱の厚さで、決して薄い時計ではないが、特段厚いというわけでもない。ケースの厚さは12.2mmと、NATOに装着してもバランスとプロポーションが美しくまとまるだろう。僕の手首のサイズに合わせたブレスレットだと総重量は132gだった。

ロリエ ヒュドラ SIII
仕上げは、この価格の時計にありがちなシンプルでわかりやすいもので、ブレスレットの表面とリンクの側面はサテン仕上げ、ケースサイドにはポリッシュ仕上げを施している。ベゼルの動作もよく、120クリックの軽量な動作は制限された振動と良好な位置の調整のおかげであまり不満もない。同様に、リューズも見事なまでに仕上げられていてねじ込み動作も簡単。ムーブメントが正確にコントロールできた。

このムーブメントは間違いなく、ヒュドラ SIIIの美しい外観要素以外の最大の特徴だ。前述のとおり、この時計はMiyotaの自動巻きGMTムーブメントである9075を搭載した小規模ブランドの数少ない初期のモデルのひとつである。

僕が書いたGMT関連の記事をほとんど読んでいる人は、ここから先まで読み進められると思うが、トラベルウォッチに詳しくない人はある程度のコンテクストが必要だと思う。できるだけ簡潔に説明しよう。トラベルコンプリケーションウォッチには無数のフォーマットがあるが、今日の伝統的な“GMT”の時計は、ふたつのフォーマットのうちのひとつである。ひとつめは低価格帯で流通しているスタンダードなもので、24時間目盛(通常はベゼル)上の第2時間帯を示す24時間針を、ユーザーが独自に調整できるもの。もうひとつはロレックス GMTマスターIIによって広まったフォーマット(チューダー ブラックベイによってさらに認知された)で、ユーザーがホーム(またはローカル)の時針を個別に調整できるというものだ。

ロリエ ヒュドラ SIIIのサイド
前者は、ホームから別のタイムゾーンを追跡するのに非常に便利(国際電話をするときなど)なため、通称“コーラー ”GMTと呼ばれる。後者は新しいタイムゾーンに到着した際、時刻変更の作業を大幅に簡素化できるため、こちらは“フライヤー”GMTと呼ばれている。フライヤーGMTの場合は秒針を止めることもなく、最上の例としては、午前0時を過ぎて時針がジャンプするたびに日付が前後に更新されることだ。

9075は、自動巻きのMiyota 9015の系譜であり、完全なフライヤーGMT(ローカルジャンピングと日付修正)の機能を提供している。9015は低価格帯のカテゴリのなかで長い実績を誇り、9075は2万8800振動/時(4Hz)で時を刻み、ハック機能、自動巻き(手巻き付き)、約42時間のパワーリザーブを備えている。

ロリエ ヒュドラ SIII
9075のメリットは、小規模ブランドが選択できるほかの多くのムーブメントよりも低コストであるだけでなく、ロリエ(およびその他のブランド)のような小さなブランドに市販ムーブメント、しかもフライヤーGMT機能を提供する非常に数少ないもののひとつであることだ。ETAはCO7.XXXの名称でフライヤーGMTを製造しており、それはミドー オーシャンスター GMT LEなどに搭載されている。しかし僕がミドーを好きなのと同じくらい、もしあなたが低価格帯の優れたGMTウォッチを探しているのであれば、ヒュドラ SIIIは依然として半分以下の価格である。

核心に触れるのが遅くなってしまったが、ロリエは現在、ヒュドラ SIIIを599ドル(日本円で約8万5000円)で販売している(編集注記:初回生産分は完売。次回は8月中旬から下旬のあいだに再入荷の予定)。ブレスレット、風防を磨くためのポリウォッチチューブと研磨用クロス、トラベルポーチ、そしてブレスレットのサイズを調整するためのドライバーを含んでこの価格だ。決して悪くない。むしろ実に素晴らしい。

ロリエ ヒュドラ SIIIのリストショット
比較的新しいムーブメントの信頼性や性能を気にする人のために説明すると、ブローバやシチズンのブランドもこのムーブメントを採用しているし(ミヨタはシチズンの傘下にある)、ヴェールやトラスカ、ボルダー、ゼロスといった小規模ブランドも、新しい時計にこのムーブメントを搭載しているので、ロリエだけがこのムーブメントを使用しているわけではない。さらにこのロリエのサンプルを自分のタイムグラファーにかけたところ、6つのポジションで平均+8.5秒/日という結果だった。これはひとつのデータに過ぎず、5桁半ばの時計にCOSC程度の精度を期待していたわけではなかったが、僕はその計時に感服した。

これらのモデルはどれも一見の価値があるが、競合のほとんどはコストが高いか、あるいは24時間ベゼルを持つ従来の、GMTのレイアウトを優先して形成されているものばかりだ。僕の好みからするとダイバーズGMTの位置づけは、複数の役割を持つ日常的なスポーツウォッチにとって理想的なレイアウトであり、それがフライヤーGMTでもコーラーGMTでも関係はない。繰り返しになるが、3タイムゾーンをトラッキングする場面はあまりないが経過時間のベゼルが大好きなのだ。

ダイバーズウォッチとしての機能と、7インチ(約17.8cm)の手首で不自由なくつけられる汎用性の高いサイジングを備えた、低価格帯のフライヤーGMTカテゴリとして、このロリエはその価格に見合った価値を提供している。セイコー SSKシリーズのGMTの定価よりわずか125ドル(日本円で約1万7000円)高いだけで、より大きく、厚く、防水性が高く、そしてなによりフライヤーではなくコーラーGMTなのである。

ヒュドラ SIIIが傑出しているのは、非常に完成度の高いパッケージでありながら(しかも35ドル/5000円 追加すれば裏蓋に刻印を入れることもできる)、この価格帯での提供を実現するために手を抜いた部分が見受けられない点である。もちろん気になる点を挙げるとすれば、ベゼルの夜光が少し暗いことと、ブレスレットを微調整する際に工具を使う必要があるということぐらい。

ロリエ ヒュドラ SIIIのリストショット
ロリエ ヒュドラ SIII
ロリエ ヒュドラ SIIIのリストショット
価格はともかく、ヒュドラ SIIIは素晴らしい出来栄えかつよく考えられたデザインで、装着感も良好、特に1000ドル(日本円で約14万3000円)以下という、普通ではあまり見られないスペックを有している。あなたがヒュドラ SIIIを購入することについて、僕の予測に1点注意があるとすれば、それは手に入るまで待たなければいけないかもしれないということ。ロリエは小さなブランドだ。特にカジュアルな価格で時計を提供しつつ、しかもそれが特殊かつマニア的な特質であるという事実が多くの愛好家の目に留まれば、ヒュドラ SIIIはさらに多くの注目を集めるだろう。

ヒュドラ SIIIは、9075を搭載したGMTが続々と発表されるなか、注目すべき価格帯で市場に出回ったことで、ほかを圧倒するのは間違いないだろう。GMTマニアたちはとても喜んでいるに違いない。ヒュドラ SIIIは次の冒険のために年間の旅行費用をそのまま残しながらベストが尽くせる、大変素晴らしいツールであるのだ。

自分にぴったりの1本を見つけるコツを紹介

腕時計は単なる時刻確認のツールを超えて、ファッションアイテムとしても大切な役割を果たします。しかし、数多くのブランドやモデルが存在する中で、どの腕時計を選べばよいか迷ってしまう人も多いでしょう。
腕時計選びのポイント
腕時計を選ぶ際は、以下の7つのポイントを考慮することが大切です。

使用シーン
価格帯・ブランド
ケースサイズ・手首サイズ
重さ
ベルトの素材
ムーブメント
デザイン・機能
上記の7つの要素は相互に関連しており、1つだけを重視するのではなく、バランスよく検討することが満足度の高い腕時計選びにつながります。特に初めて腕時計を購入する場合は、どのような場面で着用するかを明確にしてから、他の要素を決めていくとスムーズに選択できるでしょう。

使用シーン
腕時計は、使用シーンによって適切なスタイルが大きく変わります。特に以下の4つのシーンに分けて考えるとよいでしょう。

ビジネス
フォーマル
カジュアル
スポーツ・アウトドア
ビジネス
ビジネスシーンでは、信頼感と品格を演出できる腕時計が求められます。ベルト素材は革やステンレスを選び、文字盤カラーは白、黒、ネイビーなどの落ち着いた色合いが適しています。ケースサイズは中程度から小さめを選ぶことで、スーツの袖口から上品に覗かせることができます。

フォーマル
フォーマルな場面では、よりエレガントさが重要になります。黒い革ベルトが推奨され、文字盤は白や黒といったシンプルなカラーを選びましょう。ケースは小さめで薄型のものが、ドレスコードにも適しています。

カジュアル
カジュアルシーンでは、自由度が高くなります。ナイロンやラバー、革など、さまざまな素材のベルトが選択でき、文字盤カラーやケースサイズも個人の好みに合わせて自由に選べます。

スポーツ・アウトドア
スポーツやアウトドアでは、機能性と耐久性が最優先です。ラバーや樹脂製のベルトは汗や水に強く、黒やカラフルな文字盤でも問題ありません。大きめのケースサイズでも機能性を重視した選択として適切です。

価格帯・ブランド

腕時計の価格帯は選択肢の幅を決める重要な要素です。予算に応じてアクセスできるブランドやモデルが変わってきます。

10万円前後
10万円前後の価格帯では、品質と手頃さのバランスが取れたブランドが豊富に揃っています。

ハミルトン
カシオ
シチズン
セイコー
グッチ
ガガミラノ
ティファニー
ハミルトンは1892年創業のアメリカ発祥ブランドで、クラシックなデザインと確かな品質で人気です。カシオやシチズン、セイコーは日本が誇る時計メーカーで、技術力の高さと信頼性で世界的に評価されています。

また、グッチやガガミラノ、ティファニーなどのファッションブランドからも、個性的なデザインの腕時計が展開されています。

10万〜30万円
約10万円から30万円の価格帯は、スタンダードから中堅クラスの腕時計が選択できます。

タグホイヤー
グランドセイコー
カルティエ
ブルガリ
シャネル
タグホイヤーはモータースポーツとの関連が深く、精密なクロノグラフで知られています。グランドセイコーは日本の最高級時計ブランドとして、極めて高い精度と美しい仕上げが特徴です。カルティエやブルガリ、シャネルなどの高級ブランドからも、エレガントで洗練されたモデルが展開されています。

30万〜80万円
約30万円から80万円の価格帯では、世界的に名高い高級時計ブランドが選択できます。

オメガ
IWC
ゼニス
フランクミュラー
ブライトリング
オメガは月面着陸で有名なスピードマスターやシーマスターで知られ、IWCはドイツ系スイスブランドとして高い技術力を誇ります。ゼニスやフランクミュラー、ブライトリングも、それぞれ独自の技術や美学で多くの愛好家に支持されています。

80万〜150万円
約80万円から150万円の価格帯は、真の高級時計の領域です。

ロレックス
パネライ
ブレゲ
ウブロ
ロジェ・デュブイ
ロレックスは圧倒的な知名度とステータス性を持ちます。パネライはイタリア海軍との歴史を持つユニークなデザインで人気です。ブレゲやウブロ、ロジェ・デュブイも、それぞれ独自の技術と芸術性で世界中で愛されています。

150万円以上
約150万円以上の価格帯は、世界最高峰の時計ブランドが揃います。

オーデマピゲ
ヴァシュロン・コンスタンタン
リシャール・ミル
オーデマピゲやヴァシュロン・コンスタンタン、リシャール・ミルは、時計製造の最高技術と芸術性を追求したブランドで、真の時計好きから愛され続けています。

ケースサイズ・手首サイズ
腕時計のケースサイズ選びは、見た目のバランスと装着感に大きく影響します。手首のサイズに対して適切なケースサイズを選ぶことが重要です。

メンズ
メンズ腕時計では、一般的に以下のようにサイズが分類されます。

35mm以下:小さめ
36〜40mm:普通
41mm以上:大きめ
日本人男性の手首周りは150〜200mmほどが一般的で、腕時計のケースが実際に乗る「上から見た手首幅」は50〜70mm程度です。この手首幅に対して、バランスよく見えるケースサイズは6〜7割程度とされています。

具体的には、手首幅が50mmの人なら35mmまでのケースサイズ、60mmの方なら42mmまでのケースサイズがちょうどよい大きさに見えます。これより小さすぎると貧弱な印象を与え、大きすぎると重厚感が強すぎて不自然な印象になってしまいます。

ビジネスシーンでは38〜40mm程度、カジュアルシーンでは40〜42mm程度が人気のサイズ帯となっています。ケースサイズを選ぶ際は、実際に試着して手首とのバランスを確認することをおすすめします。

レディース
レディース腕時計は、メンズ用と比較してより繊細でエレガントなサイズ感が求められます。

19mm以下:小さめ
20〜30mm:普通
31mm以上:大きめ
女性の手首周りは男性と比較すると細めで、130〜150mm程度が一般的です。上から見た手首幅も40〜50mmほどとなるため、腕時計のケースサイズは26mmから35mmくらいが最適とされています。実際に、各ブランドのレディース向けモデルもこの範囲のケースサイズが主流となっています。

ビジネスシーンでは24〜28mm程度の控えめなサイズ、パーティーなどのフォーマルシーンでは22〜26mm程度の小ぶりでエレガントなサイズ、カジュアルシーンでは28〜32mm程度のやや大きめのサイズが人気です。

また、ブレスレットタイプの腕時計を選ぶ際は、他のアクセサリーとのバランスも考慮すると、より洗練されたコーディネートが楽しめます。

新しいブリュー メトリック オートマティックが登場。

500本限定でリリースされる“ブリュー メトリック”は、無駄を省いて洗練された印象に仕上げた、時刻表示のみの時計だ。
ブリューウォッチはリミテッドバージョンであるメトリック クロノグラフのデザインを新たに発表したばかりだが、こちらは機械式自動巻きムーブメントを搭載した時刻表示のみの時計で、525ドル(日本円で約7万7000円)というお値打ち価格の商品として登場した。
ブリュー メトリック オートマティック
メカクォーツムーブメントを排除し、セイコー製NH35Aを採用することで、時刻表示のみかつ、36mm径(全長41.5mm)、厚さ10.75mmの堅牢なステンレス製ウォッチが手に入る。コーヒー豆に似たブリューのロゴは12時位置にセットされ、ポリッシュ仕上げのSS製インデックスの外側にあるオレンジのアクセントは、同じくオレンジに塗られたロリポップの針とマッチ。またそれらの締めくくりとして、70年代にインスパイアされたヴィンテージウォッチを現代風にアレンジしたような、クリーミーな夜光をアクセントとして配している。
この時計は現在ブランドのウェブサイトで販売されており、500本限定で提供される。
我々の考え
正直に言おう。今年も半ばに差し掛かり、私は少しリリース疲れを感じ始めている。1年をとおして何度も時計をリリースしているブランドはたくさんあるが、多くの場合はダイヤルが変わるだけで、それ以外が出ることはあまりない。クラシック音楽が好きな人には、これが1900年代初頭のように感じられるといえば理解いただけるだろうか。すべてが“テーマによる変奏曲”なのだ。とはいえ新しいメトリック オートマティックは、ブリューのようなブランドが余計なことをせずに改良を重ねることのできるデザイナーを指揮官に据えることで、いかに恩恵を受けるかを示している。
ブリュー メトリック オートマティック
新しい時計は、私が先月直接対決させた2本のメトリック クロノグラフからインスピレーションを得ていることは間違いないが、無理をせずによくデザインされた、完璧な中間点に達していると思う。私はロリポップ針(どの時計から着想を得たのかは定かではないが、個人的には昔のニバダ グレンヒェン CASDを思い出す)が大好きで、ダイヤルにはあのメトリック クロノグラフで気に入っていたポルシェデザインの雰囲気が今でも残っている。クロノグラフは大好きだが、実際にはほとんど機能自体使っていないので、この機能を省いた機械式のオプションのほうが理にかなっている。
プレスリリースには“ディスプレイケースバック”と記載されているが、写真を見た感じだとそこまでは言えない。とはいえ腕時計を初めて扱う人の多くは、機械部品の動きを垣間見ることができる“ハートビート”ダイヤルやスケルトナイズされた腕時計に魅了されることを知っている(ムーブメントの仕上げや品質に関係なく)。私は10年以上前にスケルトンのフォッシルを購入したが、歯車が動くのを見ると、世界で最も高価な時計を持っているように感じたものだ。バランスホイールが動いているのを見ることができるということは、一般的に525ドル(日本円で約7万7000円)の価格帯に引き寄せられる新規ユーザーの目を引くものであり、特にほかのパッケージが非常にしっかりしていれば、少なくとも熟練のマニアにとってマイナスにはならないだろう。
ブリュー メトリック オートマティックのデザイン
基本情報
ブランド: ブリュー(Brew)
モデル名: メトリック オートマティック(Metric Automatic Steel)
直径: 36mm×41.5mm
厚さ: 10.75mm
ケース素材: 316Lステンレススティール
文字盤: ブラック
インデックス: バー(ファセット加工)
夜光: あり、針とインデックスの端
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: サテン仕上げとポリッシュ仕上げのSS製、クイックリリーススプリングバー付き
ブリュー メトリック オートマティックのリストショット
ムーブメント情報
キャリバー: NH35A(セイコー製)
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 27.4mm
厚み: 5.32mm
パワーリザーブ: 約40~時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 24
クロノメーター: なし
価格 & 発売時期
価格: 525ドル(日本円で約7万7000円)
発売時期: すぐに、8月21日から発送
限定: あり、500本限定

アンティークウオッチからコンテンポラリーな時計まで幅広く似合うコレクションを展開。

今秋は薄型レザー、おすすめです【ワンランク上の薄型×高品質】年中使えるグレインレザーの注目ベルト

世界的な時計愛好家によって2017年に創設された“ノスタイム”は、こだわりの商品を揃える気鋭の時計ベルトメーカーだ。アンティークウオッチからコンテンポラリーな時計まで幅広く似合うコレクションを展開。高い質感と豊富なカラーバリエーションが特長だ。

欧米を中心に、世界各国からレザーを中心とした素材を調達。選び抜かれた上質な素材を目の肥えた趣味人ならではのトレンド感のある色使いで仕上げ、ほかのブランドにはない唯一無二の魅力を生み出している。

ノスタイム
STANDARD STRAP(グレインカーフ)

■ベルトの取り付け幅は18、19、20mmの3サイズ。エクリュ、グレイトウプ、グリーン、ブラウン、タン、ネイビー、ブラック、トウプ、スレートブルーの9色。各1万4300円

今回は、同ブランドを代表する“STANDARD STRAP”のなかから、人気のグレインカーフモデルをセレクト。通常のレザーにシボ加工を施して薄型に仕上げられており、先端に向かって徐々に幅が絞られるテーパー状のスタイリッシュな形状をもつノスタイムの代表コレクションだ。

購入直後においても一般的なレザー特有の硬さはなく、薄型で柔らかいソフトな質感。表面のシボやシワ感で傷や汚れが目立ちにくく、軽い質感に仕上げられているが、通常のレザーに劣らない耐久性をもつのもポイントだ。

肌なじみが良く、暖かい時期でも蒸れにくく快適に着けやすい。工具不要で手軽にベルトを交換できるのもうれしい。

これからの時期に活躍するレザーベルトとして活用できるのはもちろん、薄くて軽量で夏でもストレスを感じにくいため、1年をとおして使用できる革ベルトとしてぜひチェックしてほしい。