ブライトリングは創業140周年を迎える。それを祝うパーティは、特殊で多才なエアロスペースファミリーのちょっと意外な発表で幕を開ける。エアロスペース B70 オービターと名付けられたこの新作は、1999年3月21日にエジプトに着陸した、世界初の無着陸気球飛行の成功から25周年を記念してつくられたもので、ダブルアニバーサリーとして発表された。オービター3のカプセルの塗装をほうふつとさせるオレンジの文字盤を持つこのエアロスペースは、オリジナルの気球の一部を時計の裏蓋に組み込んだ、さらに1歩進んだものとなっている。
breitling
エアロスペース エヴォの現行世代に続くエアロスペース B70 オービターエディションは、43mmのチタンケースを備え、チタンブレスレットまたはラバーストラップから選ぶことができる。本物の気球の一部を使用したサファイア製シースルーバックのためか、エアロスペース B70 オービターの厚さは12.95mmと、スタンダードなエアロスペース エヴォ E79363世代の厚さ10.8mmと比較しても厚めである。
エアロスペースをベースにしたB70 オービターは、アナデジレイアウトを採用し、日付やセカンドタイムゾーンからフライバッククロノグラフ、タイマー、アラームまで、さまざまな機能を備えている。これらの機能はすべて文字盤に組み込まれたふたつのネガ型液晶ディスプレイによって調整され、鮮やかなオレンジのグラデーション部分には、ブライトリングがメインスポンサーを務めたオービター3ミッションのロゴがあしらわれている。
breitling
このエアロスペースの多機能性は、エアロスペースシリーズに新たに加わった、温度補正機能付きの高精度スーパークォーツ™ムーブメント、ブライトリングB70から派生している(現行世代はB79のスーパークォーツ™を搭載)。COSC認定を取得したB70は、バックライトが省略された可能性と(記載されているスペック以外については未確認)、クロノグラフを最大100時間まで動作できる点を除けば(B79は48時間)、B79とほぼ同じのように見える。機能以外にB70におけるその他の変更点は、ケースサイドにふたつのプッシャーが搭載されたことである。私はこの新モデルを実際に触ってはないが、これはデジタル機能の操作や時計の設定をひとつのリューズで行っていたエアロスペースの過去のモデルとは大きく異なる点である。
エアロスペース B70 オービターは、裏蓋に使用されるオービター3の実際の気球部品が入手可能であるだけで、特にナンバリングや生産の制限はされない。気になる小売価格は、ラバーストラップが61万6000円、チタンブレスレットが64万3500円(ともに税込)となっている。
breitling
サファイア製シースルーバックからは、オービター3で実際に使用された気球の一部を見ることができる。
我々の考え
僕はアナデジウォッチが大好きで、特に初期のエアロスペースには本当に心を打たれる。これはまさに現代的なツールウォッチで、機能よりもフォルムを重視する考え方と、ディスプレイ(最低限のバックライト付き)が暗視ゴーグルに対応しているというような細かい要素がミックスされているところが気に入っている。以前グレーのエアロスペース E56062モデルを愛用していたのだが、売却したことを完全に後悔している。ほぼ確実に、将来また別のエアロスペースを手に入れるだろう。
breitling
この特別なニューエディションに焦点を当てよう。オレンジの文字盤と特別なバルーンケースバックは確かにクールだが、アナデジブライトリングのファンも、昔ながらのHODINKEEの読者も、これが最初のオービター3をテーマにしたブライトリングではないことを覚えているはずだ。2000年にブライトリングは、当時最新モデルだったエマージェンシーにて、オービター3のロゴをあしらったブルーのダイヤルの1999本限定モデル、エマージェンシー オービター3を発表した。僕の親友であるジェイソン・ヒートンはHODINKEEで、2016年11月に素敵なIn-Depthを寄稿している。ぜひこちらをご覧いただきたい。
breitling
オービター3のベルトラン・ピカール(Bertrand Piccard)氏は、1999年に世界1周を成功させた際、オレンジダイヤルのブライトリング エマージェンシーを着用してカプセル内に入った。
2000年当時、エマージェンシーが選ばれたのは、オービター3の乗組員であるベルトラン・ピカール氏とブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)氏が気球に乗って世界1周をした際に着用していたからである。ミッションの困難さと救助の必要性を考えると、当時はエマージェンシーが賢明な選択肢だったのだ。残念ながら、エマージェンシーは10年以上前に製造中止になったため、現在は製造されていない。現行のブライトリングのカタログのなかでは、このように25周年記念モデルはエマージェンシーの兄弟機であるエアロスペースに譲られたのだ。
そのような現代的な文脈のなかで、エアロスペースはオレンジ色の美しい文字盤を手に入れ、スペシャルエディションが生まれた(オリジナルの気球の1部とともに)。43mmというサイズは、現代の好みからすると少し大きいが、実際にはオリジナルのオービター3 エマージェンシーよりも大きくない(標準的なケース寸法では)。チタンがかなりの助けになることを期待しているが、この新しいエアロスペース B70 オービターを所有したいと思っているブライトリングの顧客にとっては、サイズが最初の懸念事項ではないとも予想している。これはニッチな市場のなかでもニッチなものなのだ。
breitling
世界1周約4万5633km、20日間の旅を終え、1999年3月21日にエジプトに着陸したオービター3。
breitlgin
breitling
エアロスペースの現行モデルが近いうちに、リファレンスが最新のものに置き換わるという噂が高まっているなか、このB70を搭載したこのモデルは、過去四半世紀の特別な出来事に言及していると同時に、将来を見据えているのかもしれない。
僕にとって大切な点がふたつある。まず、オービター3のミッションは素晴らしい物語であり、そのミッションとオリジナルの記念エマージェンシーに関するジェイソンのIn-Depth記事を読むことを強くおすすめする(便宜上、ここで再リンクさせよう)。第2に、ブライトリングが僕のお気に入りモデルであるエアロスペースにまだ終わりを告げていないことに感激している。常に革新的なエアロスペースは、ブライトリングの過去の成功と、進化し続けるブランドの未来の両方において居場所を見つけ続けているのだ。
基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: エアロスペース B70 オービター(Aerospace B70 Orbiter)
型番: EB70101A1O1E1(ブレスレット)、EB70101A1O1S1(ラバーストラップ)
直径: 43mm
厚さ: 12.95mm
ケース素材: チタン
文字盤: オレンジグラデーション
インデックス: アプライドアラビア数字
夜光: あり、インデックスと針にスーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタンブレスレットまたはブラックラバー、フォールディングクラスプ付き
breitling
ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリングB70
機能: アナログ時・分針、デジタル秒針、日付表示、フライバッククロノグラフ、タイマー、第2時間帯表示、アラーム
直径: 34.8mm
厚さ: 5.85mm
パワーリザーブ: バッテリー寿命2年
巻き上げ方式: スーパークォーツ™
クロノメーター: あり
追加情報: 温度補正スーパークォーツ™
価格 & 発売時期
価格: ラバーストラップが61万6000円、チタンブレスレットが64万3500円(ともに税込)
チタン製のケースに収められた、穂高連峰に映る夏の信州の朝日をイメージした文字盤が特徴的だ。また、SBGC275の文字盤には、風景を見渡す時と同じように光とともに移ろう、最新の加工が施されている。
新開発の光学多層膜技術は、物理蒸着プロセスによってナノスケールの膜を何層にも重ね、見る角度によって異なる色合いを文字盤に与える。ここに掲載した撮り下ろし写真から、温かみのあるオレンジ色からダークレッド、そしてかなり傾けた角度でのマゼンタの輝きまで、光の加減で文字盤がさまざまに変化する様子が伝わるだろう。また、ゴールドの“GS”ロゴとシルバーの針、インデックスに施された白い夜光(ルミブライト)がアクセントとなっている。文字盤には、このケース形状のモデルにのみ使用される“獅子のたてがみ”パターンも施されている。
Grand Seiko Chronograph Red
直径44.5mm×厚さ16.8mmの高輝度チタン製ケースには同素材のブレスレットが組み合わされ、ケースの仕上げはサテン仕上げとザラツ研磨が組み合わされている。防水性能は200mで、ケースバックからは自動巻きのスプリングドライブムーブメント 9R96を鑑賞することが可能だ。精度は日差±0.5秒と相変わらず驚異的で、このムーブメントはクロノグラフ(30分積算計と12時間積算計)が作動しているあいだでも72時間のパワーリザーブを確保している。
Grand Seiko Chronograph GMT Red
このような美しい文字盤を持つSBGC275が、700本のみの限定モデルとなっているのもスペックを考えれば不思議ではない。価格は183万7000円(税込)で、すでに購入可能となっているはずだ。
我々の考え
文字盤の写真をこんなにたくさん、少なくとも意識して撮ったのは初めてかもしれない。たまにとてもシンプルな時計を撮るとき、家に帰ってから同じような写真を30枚ほど撮影していることに気がつき、自分のバラエティの乏しさにうんざりすることがある。今回のケースでは、私はわずかに異なる角度から、そしてわずかに異なる光の下で文字盤をできるだけ多く撮影した。そして、光の加減で“獅子のたてがみ”パターンがどれほど大きな変化を見せるかを説明するために、比較的色彩が安定しているケースとの色補正におそらく同じくらい時間を費やした。
Grand Seiko Chronograph GMT Red
文字盤がこのモデルの最大のセールスポイントとなっていること自体に、それほど驚きはないだろう。スプリングドライブ クロノグラフGMTのケースサイズは、率直に言って私の好みからするとあまりにも巨大でかさばってしまう。チタンのケースとブレスレットは、手首の上での重さを抑えることでその大きさのバランスを取っているものの、ブレスレット(特にエクステンション部)は少し薄めに感じられ、私がグランドセイコーに期待するレベルには達していない。しかし、それが多くのグランドセイコーファンにとって大きな問題になるとは思わない。彼らはブレスレットのデザインやテーパーについてのフィードバックに目を光らせているのだろうから、きっと今後もこのことが問題視されることはないだろう。もちろん、ポジティブな点もある。卓越したスペックを誇るCal.9R96と魅力的なカラーシフトを見せる文字盤は、買い手の興味を引き、よりじっくりとSBGC275を鑑賞したくなる十分な理由になるだろうと思う。
Grand Seiko Chronograph GMT Red
基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: SBGC275
直径: 44.5mm
厚さ: 16.8mm
ケース素材: 高輝度チタン
文字盤色: 光学多層膜技術により獅子のたてがみパターンを施したレッドダイヤルがさまざまに変色する
インデックス: アプライドアワー、プリントミニッツ、GMTベゼル
夜光: 時分針、インデックス、24時間ベゼルにルミブライトを使用
防水性能: 200m
ストラップ/ブレスレット: 高輝度チタン
Grand Seiko Chronograph GMT Red
ムーブメント情報
キャリバー: 9R96
機能: 時・分・秒表示、時針単独調整機能付き(フライヤー)GMT、30分積算計および12時間積算計付きコラムホイールクロノグラフ、ランニングセコンド
パワーリザーブ: 72時間(クロノグラフ作動中も維持)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万2768Hz
石数: 50
クロノメーター認定: ±0.5秒/日(GSS規格)
価格 & 発売時期
価格: 183万7000円(税込)
発売時期: 販売中
限定: 700本限定
今週末のフィリップス・ニューヨーク オークションに、カルティエ パンデュール ミステリユーズ(Cartier Pendule Mystérieuse)とカルティエ ペンデュレット ア シュヴァレ(Cartier Pendulette à Chevalet)が出品される。元々は4点からなるクロックのコレクションだったが、同じ出品者が先週、香港で残りの2点を販売している。そのなかには、192万ドル(日本円で約2億9900万円)の値がついた18世紀の翡翠の器をかたどった“ウォータークロック”も含まれている。このことからわかるように、クロックはビッグビジネスなのだ。
フィリップス 香港時計オークション:XVIIIにて37万4180ドル(日本円で約5800万円)で落札された1930年ごろのカルティエ ジェイド テーブルクロック(Cartier Jade Table Clock)。
20世紀初頭、ルイ・カルティエ(Louis Cartier)は時計製造がメゾンにとって極めて重要であると考えた。言うまでもなく、時計技術の革新は1904年のサントス デュモンによってもたらされたものだ。この時計は、通説では手首に装着するために特別に設計された最初のメンズウォッチであったとされている。この瞬間から、時計製造はカルティエにとっての主要な事業となった。そして1912年、ミステリークロックの発表によって、革新的な製品のパイオニアとしての地位を確固たるものにした。
カルティエのムーブメント構造は、1830年代にフランスの時計職人で奇術師のジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダン(Jean Eugène Robert-Houdin)が考案したものがベースになっている。近代イリュージョニズムのパイオニアとして、彼はモーリス・クーエ(Maurice Coüet、1912年に初めて製作されたミステリークロックのロングセラー “モデルA”のムーブメントと構造をてがけた)を含むその他の時計職人やイリュージョニストたちに道を開いた。最初のミステリークロックは、銀行家のジョン・ピアポント・モルガン(John Pierpont Morgan)に売却されたことで知られている。
2022年にボナムズが販売したミステリークロック モデルAは、手数料込みで687万香港ドル(現在の約87万9250ドル、約1億3700万円)で落札された。
宝石で埋め尽くされた時計という底なし沼にあなたを案内する前に、まずミステリークロックが実際にどのように機能するのかを説明しよう。すべてがエナメルとダイヤモンドで覆われ、ダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)の有名な赤い後宮にあるかのような、私にとっての理想の光景が一瞬フラッシュバックする。ミステリークロックという名前の由来について少しだけ触れておくが、当時ミステリークロックがどのように機能するかは極秘事項とされていた。
「カルティエはその仕組みを秘匿し、ブティックにも知らせていなかったと言います」と語るのは、フィリップス・アメリカの時計部門責任者、ポール・ブトロス(Paul Boutros)氏だ。「その謎が解き明かされたのは、時計職人による修理が必要とされ始めた何十年も後のことでした」
その原理は歯状のエッジを持つ透明なクリスタルディスクに針を取り付けるというもので、機構と時計の針が目に見える形でつながっていないため、空間に浮かんでいるように見える。だが、実際に針が空中を自由に回転しているわけではない。この特別なパンデュール ミステリユーズ(1926年ごろの製造)は、時計の底部から文字盤の底部まで伸びる1本の軸で動くシングル アクシル機構(1920年ごろに初めて開発された)を持ち、それによって分表示のディスクと時間表示のディスクを駆動している。ロッククリスタルのディスクは、非常に装飾的なベゼルとフレームによって完全に隠れているため、どの角度からも歯が見えることはない。
「1910〜20年代ごろから第2次世界大戦までのあいだに、このクロックは約30個製造されました」とブトロス氏は語る。「そのすべてがユニークピースであり、それぞれが非常に個性的でした」。カルティエがこの時計の製造を再開したのは1981年。この時代の絢爛豪華な美的感覚を考えれば納得がいく。オークションでの人気は90年代に急上昇したが、入手は常に困難だった。現在でもカルティエは、個人顧客のために特注のクロックを製造している。
宝石が散りばめられたアール・デコ調のファンタジーな時計に話を戻そう。「このケースはロッククリスタルと呼ばれるものでできているんです」と、ブトロス氏が説明する。ロッククリスタルは透明な石英の一種であり、石英自体は特別に希少でも貴重でもない石であることは周知のとおりである。しかしこの大きさで、完璧に透明でキズのないものを見つけるのは、今日では不可能に近い。さらに言うと、当時使われていたロッククリスタルは、おそらくドイツのイーダー・オーバーシュタインで彫られ、研磨されたものだろう。
「彼らはクリスタルを彫り、カットし、ファセットを施したのちにそれをくり抜いたのです」とブドロス氏は言う。「完全なクリスタルのピースがふたつあり、その上にロッククリスタルの透明なディスクが2枚取り付けられています」
カルティエがフランスで製造し、カルティエ ロンドンが販売していたシングル アクシル機構で駆動するこの時計は、高さ約27.5cmで幅は約13.5cmとなっている。これだけの装飾を施した時計としては、破格の大きさだと思う。ベースは約1kgの純金製で、ターコイズエナメル、ラピス、ダイヤモンド、オニキス、サンゴ、パールなどによる装飾が施されており、アール・デコ調のモチーフと配色で豪奢に仕上げられている。土台のうえに置かれた翡翠の支柱が、ターコイズブルーのラッカーで囲われたロッククリスタルの文字盤を支え、そこにダイヤモンドのローマインデックスが配されている。文字盤の中央には、ダイヤモンドとオニキスで龍の形をかたどった針が配されている。時針は龍の頭、分針は尾をそれぞれ表している。このミステリークロックには、オリジナルの化粧箱とシリアルナンバー入りの鍵が付属し、クロックに刻印された番号に対応するカルティエのハンドスタンプが押されている。
「これらのクロックはとても素晴らしく、完璧です。均衡とシンメトリー……すべてが精巧に作られています」とブトロス氏。「科学、芸術、宝石やその他の素材、そしてそれらを魔法で融合させたのです。彼らは、自分たちがなにをすべきかを熟知している本物の職人たちでした」
私がこれらのクロックに引かれた理由は明白だ。私は故サンローランのミューズ、ルル・ド・ファレーズ(Loulou de Falaise)に憧れ、いつだって1970年代のジュエリーに彩られた完璧なボヘミアンのイメージを描いてきた。ヴィンテージのハイジュエリーが大好きで、エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)のジュエリーが過去販売されたときの正確なロットを挙げることができる。アクセサリーやオブジェも収集していて、祖父のコレクションである中国製の嗅ぎたばこ入れを、彼が自宅のロビーに延々と続く棚に並べていたことをよく覚えている。これらのクロックは、私のように大胆で豪華なジュエリーに執着する人間にとってたまらないものだ。
「信じられないかもしれませんが、これらのクロックはジュエリーの愛好家にとても人気があるんです」とブトロス氏は私の予感を確信に変えてくれた。「ジュエリーの世界とその嗜好は非常に多様です。カルティエのクロックは、彼らにとって間違いなく魅力的なものです。ジュエリーの愛好家にとっては、時計の愛好家以上の価値を感じるものなのです」
1920年代を通じて、クーエはメゾンのためにミステリークロックを製作し続けた。そして1929年の経済危機と世界大恐慌ののち、高級宝飾品店や時計メーカーは遥かな異国からインスピレーションを得た豪華で装飾性の高い作品を発表し、遠い異国や中近東の優雅な人々の華やかなイメージを思い起こさせることで消費を促そうとした。結果として新奇さ、贅沢さ、歓楽への欲求が広まり、ジュエリーや美術品がその解消のために売られ、消費されていった。
このデスククロックにはミステリークロックのようなメカニズムは搭載されていないが、非常に華やかな一品だ。カルティエ パリの署名が入ったペンデュレット ア シュヴァレ(1930年ごろ製造)はロッククリスタル製で、無垢の翡翠のバングルにセットされ、ブラックエナメルとダイヤモンドで装飾されている。ロンジン製の手巻きムーブメントを搭載し、遥かな旅と当時の流行のデザインにインスパイアされた、時計とハイジュエリーの融合とも言うべき作品だ。
「カルティエ兄弟は1900年代初頭、そして1800年代後半にもインドや中国を旅していました」とブトロス氏。「彼らは翡翠や貴重な宝石からなるアンティークを見つけ、これらの国のジュエリーデザインにインスピレーションを得たのです。1920年代にツタンカーメンの墓が発見されたあと、アール・デコの時代には、エジプトのモチーフだけでなくアジアのモチーフも多く見られるようになりました。時計を含め、カルティエの作品にもエジプトやアジアのモチーフが随所に見られます」
以前ローマン・ゴティエの工房を訪ねた際、デスクに何げなく置かれた図面に目が留まった。微細なチューブの設計図の脇に内径0.75mmミクロンとある。「どうやって作るのか?」と尋ねると、ゴティエ氏は「棒状の鋼材から切削加工する」と答えた。これほど細いチューブを切削加工できる工房はスイスでもまれだ。
ゴティエ氏は、かつてル・ブラッシュにあった部品メーカーのプログラマー兼オペレーターとしてキャリアをスタートさせ、2002年にMBAを取得後、フィリップ・デュフォー氏に師事。彼は部品加工技術と経営学、伝統的な手仕上げの術を身に付け、2005年に満を持してブランドを立ち上げた。フィロソフィーは“TheEvolution of Tradition”、進化する伝統である。
「スイスの高級時計製造の伝統は、ジュウ渓谷で育った私にとって自身の一部です。先人たちの遺産を受け継ぎ、未来につなげたい。そのためには伝統に敬意を払いながら、技術や職能を向上させ、新たな地平を開拓しなければいけません」
伝統を進化させた好例が、2013年にジュネーブ時計グランプリ(GPHG)の最優秀メンズ・コンプリケーションウォッチ賞に輝いたロジカル・ワンである。ゴティエ氏は、最も古典的なコンスタントフォース機構であるフュゼチェーンのフュゼ(円錐滑車)をスネイルカムに置き換えることで、同じ効果を圧倒的な省スペースでかなえてみせたのである。
「ユーザーに喜びを提供するには、すべての要素が適切な場所に美しく整理されていなければなりません。ロジカル・ワンでは、右側に時計、左側に複雑機構という構成が適切だと考えました。そしてエンジニアリングをデザイン的に統合するために、設計とデザインを同時に進めました。このコンセプトは、インサイトマイクロローターにも反映されています」
インサイトマイクロローターは、オフセットダイヤルの左側にマイクロローター、右側に輪列を見せ、巻き上げ機構を表舞台に立たせた。文字盤にあらわになったテンプは、さしずめ名脇役だ。
圧倒的な加工精度と入念な手仕上げで美を創出
オフセットダイヤルとスモールセコンド、テンプを一直線に並べ、その脇に特徴的な機構を並べる──。ロジカル・ワンでは鎖引きによる駆動伝達、インサイトマイクロローターでは香箱の巻き上げ機構に、それぞれ針を動かすための秩序ある連続性をダイヤルで感じられる。ソリッドダイヤルのC by ローマン・ゴティエでは、シースルーバックに姿を見せる並列配置の直線的なブリッジとして連続性を表現。これはジュウ渓谷伝統のフィンガーブリッジの再解釈で、“進化する伝統”の表れでもある。すべての歯車が花びら状のオープンワークであるのも新鮮だ。これらすべてのムーブメントは、ゴティエ氏が設計した自社製であり、創業以来設備投資を続け、現在では部品内製率が95%に至っているという。
「私は常に自由と創造性を維持するよう努めてきました。だからこそ、最高のツールや機械への投資、最も才能ある時計師や製造職人の雇用や育成を推進し、すべて自社内で高級時計のムーブメントを製造できる体制を整えることを最優先してきたのです」
スイス時計業界でも、いち早くCAD設計を導入し、ミクロン単位の公差設定が可能な超精密加工ノウハウを確立したローマン・ゴティエの工房は、パーツ製造を請け負う一級の部品メーカーとしても名をはせる。ブランドとしての年間生産数は、たった100本前後。部品メーカーとしての仕事が、設備投資の大きな原資となった。すべての工作機械にはオイルクーラーを追加。大型の空調も導入し、切削時の温度と室温を一定に保ち、部材の熱膨張を完璧にコントロール。さらに加工する部品に最適なバイト(刃)の素材と形状を常に研究し、更新してきた。
「ツールや機械の進化によって、創造の可能性が広がりました。どのように設計、デザイン、製造するかを考えるのは、とてもエキサイティングです。そのなかには手仕事でしかできないものがあり、素晴らしい技術を持った人たちと一緒に仕事をすることは、何よりも楽しい」
圧倒的な加工精度で生み出されるすべてのパーツは、ゴティエ氏によれば“手仕上げすることを前提に設計している”という。
「例えばブリッジの面取り自体は単純なことですが、先端の微細な角の部分にはっきりとした輪郭を表すためには、高い技術が求められます」
この角が、インサイトマイクロローターのダイヤル側のブリッジでは特に鋭い。ロジカル・ワンのブリッジはオープンワークのため、内側にも角がある。C by ローマン・ゴティエのフィンガーブリッジも付け根部分は鋭利な角を持つ。それらは手仕上げで見事に形作られている。
また、C by ローマン・ゴティエ プラチナエディションの大きな特徴はケースがプラチナ製で、文字盤やインデックス、ムーブメントブリッジ、そして地板が18KWG製という点だ。ローマン・ゴティエはチタン製ムーブメントを作る高い技術を持っているが、美しさを引き立てるゴールドでムーブメントを製作することもできる。本作ではゴールド素材を用いることで、技術的な正確さと芸術的な美しさを両立させたいというメゾンの強いこだわり、哲学を表現した。
加えて入念な手仕上げはケースにも行き届き、C by ローマン・ゴティエの多面体のベゼルと裏ぶたは、完璧な鏡面でフォルムが際立つ。本作のようにプラチナケースのほかにチタンケースもあるが、どちらのモデルにおいても鏡面で仕上げる技術を有する。
「私はスペシャリストのチームを擁していることに喜びを感じ、彼らとともに常に伝統を進化させ、コレクターの皆さんにエキサイティングなものを提案し続けることができると信じています」
ゴティエ氏による次なる一手を、期待に胸を膨らませ心待ちにしたい。
パテック初のセンターセコンド・パーペチュアルカレンダーをこれほどまでに際立たせている細かいディテールを徹底的に紹介した。製造番号やデザインの詳細について疑問をお持ちの読者は、これで答えが得られたのではないだろうか。しかし率直に言って、それだけではつまらない。いつものことだが、楽しいのは信じられないほどレアなものとの邂逅である。
後編では、(おそらくこのような時計を買うことはない)私のような人間が本当に楽しめるもの、つまり最も希少な類の個体をつぶさに取り上げていきたい。これはヴィンテージ・フェラーリのディーラーでウィンドウショッピングをするようなものである。純粋な憧憬でもあり、同じくらい満足できるものだ。いつか、この時計を手首に巻いたり、250 GTルッソのシートに座ったりできる日が来るかもしれない。願うのは自由である。少なくとも、その体験がいかに希有なものであるかを知るために必要な知識は本記事からすべて得られるだろう。
さらに本記事の後半では、このような希少な時計を実際に購入する幸運に恵まれた人々のための購入手引きについて、私の考えを紹介しよう。警告しておくが、腹落ち(はらおち)するのが大変なため(前編よりもさらに長文)1度に全部読もうとしないで欲しい。これは少しずつ読むのが最適な記事だ。
レア中のレアモデル
Ref.2497の素晴らしい個体は数多く存在するため、新しい個体がマーケットに登場し続けている状況にある。全部で114本製造されたうちの56本しか発見されていないため、理論上これまで公にされていないものが見つかる余地はまだある。2024年7月初め、スペインのオークションハウスでピンクゴールド(PG)の新しい個体(ムーブメント番号042)が出品され、100万ドル(日本円で約1億5000万円)を超える値がついた(あるディーラーは120万〜140万ドルだと予想していたようだが)。その理由のひとつは、ケース素材の希少性(PGのRef.2497が見つかったのはこれで10本目である)と完璧なコンディションである。だが、このリファレンスを研究する(あるいは探す)のであれば、知っておくべき注目に値する個体はひと握りである。
ブレゲ数字ダイヤル
私の心のなかには、群を抜く1本のRef.2497がある。約1年前、私は再びオークションに出品されるのを目にしたい5本のリストを作成した。それには次の理由がある。1)家を飛び出し、自分の目で確かめたいから、2)希少な時計が到達し得る価格の限界に対する私たちの理解を完全にリセットしてくれるから。これはそのリストの筆頭の時計であり、言うまでもなくその価値がある。
プラチナケースにブレゲ数字。これだけ知れば十分だろう。ムーブメント番号888,075のこの時計は、パテック フィリップの時計のなかで最も印象的(おっと、オークションハウスの常套句を使ってしまった)なもののひとつである。このリファレンスのプラチナケースは2本のみで、いずれもウェンガー社製ケースであったが、プラチナ製であるという事実だけで、ヴィシェ社製ケースのデザインに対する好みを凌駕する。実際、パテックは(私の知る限り)1980年代にRef.2499Pを発表するまで、プラチナケースのパーペチュアルカレンダーを製造することはなかった。この2本のなかで私がいちばん好きなのは、ダイヤルのハードエナメルのブレゲ数字を持ったほうに尽きる。囲みのない非常に渋いミニッツトラックも好感が持てる。スポーティさとエレガントさのバランスが絶妙で、唯一無二のパッケージだ。
この時計は、オリジナルオーナーの家族によって2008年に初めてクリスティーズに出品され、競り落とされて以来、公の場では見ることができなかった。この時の出品は凄まじく、フィリップ・スターン(Philippe Stern)氏とアルノー・テリエ(Arnaud Tellier)両氏がブリッグス・カニンガムJr.のスティール製Ref.1526を見事競り落としたのも同じ場であった。 では、Ref.2497Pの落札価格は? その場に居合わせた人なら分かると思うが、320万7400スイスフラン(当時の相場で約3億720万円)で、HODINKEEの友人であるアルフレッド・パラミコ(Alfredo Paramico)氏の手に渡った。繰り返すが、これは2008年の落札価格だ。今日ならいくらで売れるだろう? 何人かに聞いてみたところ(そのうちの何人かは、当時この時計に実際に入札していた)、全員が同じ相場観を持っていた…涼しい顔で750〜1000万ドル(日本円で約11億2800万〜15億円)と言ってのけ、果ては1200万ドル(日本円で約18億500万円)などという声もあった。16年で400万ドルも跳ね上がるのは、まさに驚愕のひと言である。700万ドルともなれば、ニュースの見出しを飾るだろう。
ダイヤモンドインデックス入りのプラチナケース
2本のプラチナ製ケースのリファレンスのうち、最初に取り上げる1本を選ぶのは困難だったが、だからといってこの個体が特別なものでないと誤解しないでほしい。ムーブメント番号888,029のこの個体は、リファレンスを完全無欠な美で体現したもので、おそらくこれまでに製作されたパーペチュアルカレンダーのなかで私が最も好きなモデルである。この時計は、非イエローゴールド(YG)のほとんどすべての金属素材と同様、ウェンガー社製ケースに収められ、ダイヤルの4分の3、つまり3時、9時、12時位置にバゲットダイヤモンドのインデックスがあしらわれている。また、ローズゴールド(RG)のリーフ針がダイヤルに遊び心を加えている。そしてブレスレットに注目して欲しい。
2本あるプラチナケースのRef.2497のうちの1本(ダイヤモンド入り)。Photo: courtesy John Goldberger
ポリッシュ仕上げされた薄いブリック型ブレスレットは、Ref.2497と一緒に販売されているほかの希少なオリジナルブレスレットと同様、おそらくゲイ・フレアー社製のものだろう。ケースにぴったりと寄り添うようにカットされ、ほぼ一体化したデザインを実現している。
この時計について語ることは、ほかにはあまりない。この時計は1997年にアンティコルムにて約75万ドル(現在では滑稽なほど安価だ)で落札されて以来、一般市場では取引されていない。この時計は個人の時計コレクターの手に渡り、あと少しで実物を見ることができるところだった。その時、私はスマートフォン内にある最近の画像を見せてもらったが、ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏がオーナーのために撮影したプロフェッショナルな写真を共有したのは本記事が初めてとなる。
“セラシエ”とそこに潜む注意点
時として、特別な時計には複雑な歴史があり、また注意が必要なものもある。2015年、クリスティーズはRef.2497の最も目を見張るような個体のひとつを販売しようとしたが、壇上に上がる手筈が整ったほんの数分前に、所有権に関する論争のために販売から撤回された。権利問題を複雑にしているのは、この時計がかつてエチオピア皇帝、故ハイレ・セラシエ1世(Haile Selassie)の所有物だったということだ。
ムーブメント番号888,058のこの個体は、YGのウェンガー社製ケースと夜光針を備えたユニークなブラックの第1世代ダイヤルを備えている。この時計は最終的に、アルフレッド・パラミコ氏とダヴィデ・パルメジャーニ(Davide Parmegiani)氏という2人の有力ディーラーの入札合戦の末、2017年に落札され、後者が289万8000ドル(当時の相場で約3億2500万円)で勝ち取った。ブラックダイヤルとYGケースのパテックは、このブランドで最もコレクション価値が高いモデルのひとつであるため、この落札結果は当然といえよう(現在ならもっと高額となる可能性もある)。しかし、これらのブラックダイヤルには注意が必要だ。
YGケースのブラックダイヤルを持つRef.2497は、2009年のアンティコルムにいちど登場した、夜光針を備えた第2世代である。これはRef.2497のなかでもとりわけ垂涎の的となるはずだ。奇妙なことに、この個体は“アーカイブの抜粋”(そこに何が記載されていたのかは不明だが)付きで出品されたにもかかわらず売れ残ったのである。その時計を手に取ったことのあるごく少数の人たちに尋ねたが、その理由について明確な答えは得られなかった。ある信頼できる時計コレクターは、“気に入らなかった”と言った。もうひとりは、彼らの記憶ではダイヤルがリダンされたように見えたと言った。実際に見たわけではないため完全に否定するつもりはないし、出自の正しい価値のある時計である可能性もまだ残されているが、再び登場した際のマーケットの反応は気になるところだ。
フラートン
“フラートン”は、世界で最も重要なRef.2497であるという根強い意見が支持されている。これはパテック初のCal.27SC Qムーブメントで、ムーブメント番号は888,000と刻印があり、1951年に製造されたユニークケース(ケース番号は663,034)に収められている。この時計は、1953年のバーゼルフェアで発表された新作のプロトタイプであった。最終的には歴史上最も重要なコレクターのひとりであるヘンリー・グレーブス Jr.(Henry Graves Jr.)の孫であり、自身も重要な時計コレクターであるピート・フラートン(Pete Fullerton)に売却され、パテックとの深い絆の証となった。
2015年、サザビーズで初めて販売されたフラートン。
大げさな表現が多いためシンプルな言葉で説明しよう。この時計は珍しいケースデザインであり、スリーピースケースに長くカーブした、ほぼポリッシュ仕上げに近いラグが付いている。ダイヤルのアプライドインデックスは個性的で大胆、実質的に未来的な立体型フォントを採用している。この組み合わせはRef.2497ではほかに類を見ないものであり、もしあなたがこの時計を実際に目にしたら、“フラートン”だとすぐに分かるだろう。
2021年、クリスティーズで初めて販売された時のフラートン。
フラートンが所有して以来、この時計は2度落札されている。2012年にサザビーズで68万8000スイスフラン(当時の相場で約5860万円)、そして2021年にクリスティーズで150万7144スイスフラン(当時の相場で約1億8100万円)だった。これほど値が上がらなかったことに正直なところ驚いている。見方によっては、Ref.2497を完璧に表現していないからかもしれない。時計コレクターのなかには、そのリファレンスの象徴的なデザインを求める人もいるからだ。しかし2億円という金額は、どの通貨に置き換えても大金である。
シドニー・ローズ
一方、私のお気に入りのもうひとつ、“シドニー・ローズ”は読んで字の如くである。これはRGの第2世代(第1世代ダイヤル、ウェンガー社製ケース)で、夜光の入ったRGのドフィーヌ針が印象的な時計だ。若干の注釈が必要なものもあるが、すべてが公明正大である。
この時計は1954年に製造されたものの売れ残ったため、パテックは1960年代にゴールドの“ミラネーゼ”ブレスレットを追加し、オリジナルの“フィーユ”針を新しい夜光針に交換することでアップデートを図った。第2世代ダイヤルは、売れ残った個体の販売促進を目的にアップデートされたものだと考えられている理由の一例である。この時計は1960年代にオーストラリアに渡り、かの地で販売された。再び市場に出てきた際には、“シドニー・ローズ”というニックネームが与えられた。フィリップスはこの時計を2017年に74万2000スイスフラン(当時の相場で約8450万円)で販売した。
ホワイトゴールドトリオ
2497 White Gold
ジャズ・コンボの名前のように奇妙だが、ムーブメント番号888,015、888,054、888,055の3つのWG製Ref.2497を“ホワイトゴールドトリオ”と呼んでいる。いずれも第2世代(ウェンガー社製ケース、第1世代のダイヤル)である。前編では、パテックがWGをきわめて希少な存在にしていた最後のリファレンスであると述べた。そのうちの1本、友人のデイブが所有している888,054を実際に見ることができたのは幸運だったが、それだけがトップ3に入れる理由ではない。ブレスレットに注目してみよう。
正面から見ると、この時計はゲイ・フレアー社製ブレスレットによる切れ間のない完璧な列があり、その列をつなぐジョイント部分は“フィレンツェ様式”の仕上げで覆われているように見える。同じようなブレスレットを持つプラチナのモデルとは実に対照的だ。また、この時計は7.8インチ(約19.8cm)以上の手首の人に合うだろう。私が試着した際、ブレスレットは私の手首にジャラジャラと余っていた。ファクトリーブレスレットの興味深い微妙な特徴のひとつは、7時位置にある切り込みで、ブレスレットを外さなくてもムーンフェイズの修正ボタンにアクセスできるようになっていることだ。この時計はオークションで何度も落札されており、最近では2021年のフィリップスにて281万3000スイスフラン(当時の相場で約3億3780万円)で落札されている。